2021年1-3月期決算は予想下押し、積極的なニューモデル投入計画を評価

現地コード 銘柄名
02333

長城汽車

(グレートウォール・モーター)

株価 情報種類

 24.45​HKD
(4/22現在)

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 中国の民営自動車大手、長城汽車の2021年1-3月期の純利益は前期比40.9%減の16億元にとどまり、市場予想の18億-20億元を下回った。原材料価格の高騰や製品構成の低価格化による粗利益率の悪化が響いた格好。ただ、19日に開幕した上海モーターショーで、同社はニューモデルを多数投入し、製品サイクルの力強さを印象付けた。また、オフロードSUV「Tank 300」に対する市場の反応は予想以上に好調で、下期にはこの分の利益上乗せ効果が鮮明となる見込み。BOCIは粗利益率に関する想定値の引き下げに伴い、利益見通しを減額修正しながらも、中期的にはニューモデルの高付加価値化が続くと予想。株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 1-3月期には、低価格の「欧拉(ORA)」ブランドの販売比率は上昇したが、BOCIは高価格の「Tank」(2021年1月に納車開始)の上乗せ分が悪影響をカバーしたとみている。卸売台数ベースの平均販売価格は前期の9万5,529元から9万1,845元に後退したが、これは卸売台数と収益計上台数のずれが原因。期中の収益計上分の平均販売価格は9万5,000-9万6,000元と実際には前期の9万3,000-9万4,000元から上向いたという。

 粗利益率は1-3月に15.1%と前期の18.3%から悪化した。理由は以下の通り。【1】原材料高騰で1台当たり売上原価が1,000-2,000元増大し、粗利益率が前期比1-2ポイント低下【2】低価格のORAの販売比率が前期の7.5%から9.1%に上昇。新エネルギー車生産を促す「ダブルクレジット制」からの収入がなく、ORAが原価割れした可能性がある【3】スケールメリットの後退で1台当たり固定費が上昇【4】小売台数が卸売台数を上回り(計上時期のミスマッチ)、ディーラー向けの1台当たりリベートが増大。

 上海モーターショーでは全体の約1割に当たる13回のブリーフィング(概要説明)を行い、ニューモデルの豊富なラインナップを示した。一時は主力と位置づけた都市型SUV「Haval」を中心に据え、ブランドの多様化を推進。「ORA」「Wey」「Tank」「Greal Wall」(ピックアップトラック)、「SL」(ハイエンドEV、2021年下期に初投入へ)を加えた6ブランド体制を目指す方針。うちWeyはセダン、SUV、MPVなど全タイプをカバー。年内にニューモデル3種、2022-2023年には8-9種を投入する予定となっている。

 BOCIは2021年通期の販売台数を145万台と予想。4-6月には半導体不足が打撃になるとしたが、下期には挽回可能との見方。特に予想以上の「Tank 300」の人気が下期の利益上乗せにつながるとみる。ただ、半導体価格の高止まりなどに起因するコスト高を反映させる形で、2021-2023年の予想純利益を5-15%減額修正し、それぞれ91億元、119億元、130億元(2020年実績は54億元)に設定。目標株価を引き下げた(新たな目標は2022年予想PER[株価収益率]20倍)。短期的には1-3月決算の下押しが響く可能性を指摘したが、ニューモデル投入サイクルを高く評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。