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 菅首相は所信表明演説で「2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを表明しました。これを受けて政府は脱炭素社会の実現に踏み出しました。脱炭素で再生エネルギーの柱として期待されるのが『風力発電』です。ただ風車本体の生産では欧州勢などが先行しており、日本企業は撤退を余儀なくされています。一方で技術面の強みを生かせる部材では商機が拡大してきており、その動向が注目されます。

【ポイント1】脱炭素は洋上などの『風力発電』が柱

 政府は脱炭素社会の実現に踏み出しました。脱炭素での再生エネルギーの柱となる洋上などの『風力発電』は、40年までに原発約45基に相当する4,500万キロワットを導入する目標としています。

 風車本体については先行する欧州勢などとの価格競争が厳しく、日本企業は生産そのものからは撤退を余儀なくされているのが現状です。ただ風車の大型化で耐久性の高い部材への需要は増えており、国内の部品や素材メーカーは自動車や航空機で培った技術を生かせるため商機が拡大しています。

【ポイント2】国内部品、素材企業は関連部材を増産

 日本精工は中国で『風力発電』機に使う大型軸受けを増産します。高耐久性の軸受けの需要が高まっており、今後3年間で30億~50億円を投じ新工場を設け、現地の企業に供給します。また『風力発電』機向けに強い英国計測機器メーカーのスペクトリスの設備監視事業を買収しました。長期的にはガソリン車が縮小するなか、風力向けなど自動車以外の売上比率を現在の3割から35年には5割に高める方針です。

 発電効率を高めるために羽根の大型化が進み、軽さと強さを併せ持つ炭素繊維の需要が増えており、東レは風車の羽根に使う炭素繊維を増産します。同社の子会社は風車の羽根用の炭素繊維では世界首位です。コロナ禍で航空向け事業が不振となるなか、『風力発電』向け部材の販売を増やす方針です。

【今後の展開】『風力発電』の導入本格化に伴い部材の商機拡大を期待

 菅首相とバイデン米大統領は4月16日の首脳会談で、日米双方が掲げる2050年の温暖化ガス排出の実質ゼロ目標に向けて「30年までに確固たる行動をとる」ことで一致しました。また東芝は風車を海に設置して発電する洋上『風力発電』で、米国のGEと提携する方向で交渉に入っていると2月に報じられるなど、今後導入が本格化する『風力発電』で様々な動きが加速するとみられます。そうした状況を受けて、高い技術力を有する国内の部品や素材メーカーの商機拡大が期待され、関連企業の取り組みが注目されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。