2021年はマイルストーン、受託製造ビジネスが成長加速へ

現地コード 銘柄名
02269

薬明生物技術

(ウーシー・バイオロジクス)

株価 情報種類

107.00HKD
(4/15現在)

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 バイオ医薬品の開発受託会社である薬明生物技術は、世界のアウトソーシング需要を取り込むため、自前の設備建設とM&A(買収や合併)を通じて生産能力の拡大を加速させている。BOCIはプロジェクト3件が年内に承認を得る見通しから、同社の医薬品受託製造(CMO)ビジネスにとって、2021年はマイルストーンになるとの見方。新規の受託プロジェクトの上乗せや生産能力の拡大、CMOの売上構成比の上昇見通しなどを理由に、2020-2023年には売上高と純利益がそれぞれ、年率平均48%、45%増加するとの見通しを示した。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 経営陣によれば、世界の生物製剤IND(新薬治験)プロジェクトは年間200-250件。同社は2021年以降、年間80件の獲得(これまでは約60件)を目指す。これは世界IND市場で約32-40%のシェアを握ることを意味する。同社はまた、2021年以降、総合開発製造プロジェクトの新規取得件数を年80件とする目標も掲げているという。

 一方、CMOビジネスの売上高は2021年に加速する見込み。経営陣はグラクソスミスクラインのPD-1(免疫チェックポイント阻害薬)、哈爾濱誉衡薬業(002437)のPD-1、基石薬業(02616)のPD-1というプロジェクト3件が2021年に承認を得るとみている。さらにアミカスが2021年7-9月にポンペ病治療薬ATB200の生物製剤認可申請(BLA)を行う予定。2021年のCMO事業の売上高について、経営陣は4億-5億米ドルを見込む。

 同社の生産能力は2020年に5万4,200リットルだったが、稼働率はほぼ100%で、年間売上高は56億1,200万元。1リットル当たりの売上高は10万3,550元に相当する。2024年には生産能力を43万1,000リットルに引き上げる計画だが、BOCIは過去の事例に照らし合わせ、これも2026-2027年にはフル稼働となると予想。2027年には522億3,700万元の売り上げが期待できるとしている。

 また、CMO業務の売上構成比が上昇しても、粗利益率は現行水準を維持する可能性が高い。経営陣によると、CMOプロジェクトの粗利益率はほぼ試験業務などと同じ40-45%と、事前予想(35-40%)を上回る見通しという。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき、目標株価を引き上げた。目標算出上のWACC(加重平均資本コスト)を8.8%、永久成長率を5.0%に設定した。現在株価は2022年のPEGレシオで2.9倍。同業銘柄を見ると、無錫薬明康徳新薬開発(02359)、杭州泰格医薬科技(300347)、方達控股(01521)、北京昭衍新薬研究中心(06127)が順に、3.2倍、2.5倍、1.7倍、1.5倍、1.8倍の水準にある。

 一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIは予想以上の競争激化や、R&Dプロジェクトの遅延により生産増強が遅れる可能性、製薬会社によるR&D支出が予想を下回る可能性を挙げている。