2021年1-3月の小売り販売好調、新疆綿問題が追い風に

現地コード 銘柄名
02020

安踏体育用品

(アンタ・スポーツ・プロダクツ)

株価 情報種類

140.50HKD
(4/15現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 中国のスポーツアパレル大手、安踏体育用品の小売売上高は、2021年1-3月に通期目標(「安踏」は10%台後半、「FILA」は30%強)を上回る伸びを記録した。新疆ウイグル自治区に関する問題が追い風となったもよう。海外有力ブランドが新疆綿の調達を取りやめる中、中国国内では海外製品の不買運動が広がり、結果的に国内大手である同社の販売増を後押しした。ほかにネット通販の好調も寄与したもよう。小売価格の値下げ率や在庫状況はすでに正常化。この先、年内の安定成長に向けた基盤が整った。BOCIは目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 主力の「安踏(ANTA)」ブランドの小売売上高は、1-3月に前年同期比40-45%増。うち大人向けは35-40%増、キッズが45-50%増を達成し、オンライン通販は60%超の伸びだった。コロナ前の2019年同期との比較では、「ANTA」ブランド全体で10%台前半の増収を確保した(主にネット通販の好調が寄与)。オフライン販路の在庫は1-3月に5カ月分と、前年同期の7カ月超、前四半期の5カ月強から縮小し、正常化。また、小売りレベルでの値引き率は1-3月に27%と、前年同期の32%から落ち着き、こちらも正常化した。このほか、ブランドの活性化方針に伴う販売店のリノベーションも3月末までに第1段階が完了した。同社はハイエンド需要を取り込むため、製品構成の高付加価値化を進める方針。4-6月以降は自社の強力なサプライチェーンを生かし、製品補充を増やす方向で準備しているという。

 一方、「FILA」ブランドの小売売上高は1-3月に前年同期比75-80%増(FILAクラシック、FILAフュージョン、FILAキッズがそれぞれ80%強、150%強、100%の伸び)。2019年同期比でも65-70%増を記録した。前年同期と前四半期に8カ月強、6カ月強だった販路上の在庫は6カ月まで縮小。小売価格の値引き率も22-23%と、前年同期の26%から改善した。また、「FILA」以外のブランドを見ると、1-3月の小売売上高は同115-120%増(内訳はデサントが150%強、KOLONが75%強)と、前四半期の同55-60%増から加速。2019年同期比では95-100%の伸びだった。

 経営陣によれば、新疆綿をめぐる海外ブランド不買運動は特に、3月半ばの小売販売の押し上げに寄与したが、3月下旬以降はその効果が縮小傾向にあるという。その他海外ブランドと比べ、タイムリーな宣伝活動を行った「FILA」はこの間も好調だった。経営陣は長期的に、消費者の国産ブランド志向が強まると予想。ハイエンド製品の拡充といった製品イノベーションを背景に、国内大手が多国籍ブランドのシェアを奪うとみる。

 BOCIは2021-2023年の予想売上高を8%、8%、7%引き上げたのに伴い、予想純利益を6%、7%、7%増額修正した。引き続き、向こう1年のフォワードPER(株価収益率)40倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。