3月の販売はやや低調も市場シェアは拡大傾向、上海モーターショーが支援材料に

現地コード 銘柄名
02333

長城汽車

(グレートウォール・モーター)

株価 情報種類

24.05HKD
(4/9現在)

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 中国の自動車大手、長城汽車の3月の販売台数は前月比24.4%増の11万736台。AWD(全輪駆動)システム用のMCU(マイコン)チップの不足に加え、「Tank 300」の一時生産停止が響き、季節要因を考慮した前月比の予想に届かず、業界平均を下回った。ただ、コロナ禍にあった前年同月との比較では84.4%増と業界平均の73.4%を上回る伸びを達成し、市場シェアの拡大傾向を維持した。BOCIは「Tank 300」の生産能力が4月10日から倍増する見通しに触れ、2021年の利益上振れにつながるとの見方。現在株価の相対的な低バリュエーションや積極的なニューモデルの投入サイクルなどを前向きに評価した上で目標株価を据え置き、株価の先行きに強気見通しを継続している。

 3月の販売台数は前月比24.4%増と、業界平均の50%超を下回ったが、その理由の一つは「Tank 300」と「大狗(Dagou)」に搭載するAWDシステム用MCUチップの不足。「大狗」より利益率が高い「Tank 300」に優先的にチップを振り向けたとみられ、結果的に「大狗」の販売台数は前月割れした。もう一つの理由は、3月25日付での「Tank 300」の生産・予約の一時停止。3月の販売台数は前月比51.7%増の5,005台に達したものの、需要は本来、さらに大きいはずだった。ただ、「Tank 300」の月産能力は4月10日に、5,000台から1万台に倍増する運びとなる。

 1-3月の累計販売台数は前年同期比125.4%増の33万8,798台。新型コロナに直撃された前年同期実績の低さが急増の原因だが、コロナ前の19年同期と比べても19.4%増。業界平均の約5%増を上回るペースとなり、市場シェアの拡大傾向をうかがわせた。

 一方、BOCIは1-3月期決算について、前四半期比での増益を見込む。販売台数は前四半期比で9万2,000台減少したものの、利幅の大きいピックアップトラックとオフロード車(大狗+Tank 300)の販売比率が5ポイント上向き、製品構成が改善したことが理由。原材料価格や人件費などの要因を考慮した上で、1-3月の経常性純利益を21億-23億元と予想。前四半期の20億元から上向くとみる。

 4月19日開幕の上海モーターショーでは「Mocha」「Macchiato」「Latte」や欧拉(ORA)ブランドのEV3種など、多数の新型車を発表し、今後3四半期にわたって順次、市場に投入する見込み。同社は2年間に及ぶニューモデル発表の加速局面を迎えたという。

 BOCIは2021年、2022年の予想販売台数を145万台、163万台に設定し、予想純利益を107億元、126億元に据え置いた。一方、同社の現在株価については2021年、2022年の予想PER(株価収益率)で17.3倍、14.8倍と、同業の吉利汽車(00175)より低水準にあると指摘。2021年予想PER25倍をベースとする目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。短期的な株価の支援材料としては、4月19日開幕の上海モーターショーと4月23日に予定される2021年1-3月期の決算発表を挙げている。