4.注目銘柄
信越化学工業
1.2021年3月期3Qは2.0%減収、6.9%営業減益
信越化学工業の2021年3月期3Q(2021年10-12月期)は、売上高3,798億8,100万円(前年比2.0%減)、営業利益1,007億400万円(同6.9%減)となりました。
表4 信越化学工業の業績
2.2021年3月期3Qセグメント別動向―塩ビ・化成品、半導体シリコンなど重要セグメントで需要増加中―
1)塩ビ・化成品
2021年3月期3Qは、売上高1,207億円(同0.9%増)、営業利益245億円(同3.9%減)と小幅減益ではありましたが、営業利益は新型コロナ不況に突入した2020年3月期4Q149億円を底として回復中です。アメリカ中心にDIY、インフラ整備等によって塩ビ需要が拡大していることにより、米国の塩ビ子会社、シンテックのフル操業が続いていること、好調な需要に対応して値上げを進めたことが業績に寄与しました。2020年1月から2021年3月までの北米での累計値上げ幅は32セント、2020年1-3月期平均価格と2021年1-3月期平均価格の比較では推定約13%の値上げになると思われますが、この値上げが2022年3月期の塩ビ・化成品の業績にプラスに寄与すると予想されます。
2)シリコーン
シリコーンは、売上高527億円(同8.0%減)、営業利益110億円(同30.8%減)となりました。前年比では大幅減益となりましたが、自動車向け、化粧品向けが回復しており、業績は底打ちしたもようです。
3)機能性化学品
機能性化学品は、売上高293億円(同0.3%増)、営業利益62億円(同16.2%減)となりました。医薬品向けは堅調ですが、建材向けは低調な動きが続きました。
4)半導体シリコン
半導体シリコンは、売上高920億円(同7.3%減)、営業利益371億円(同1.3%減)と小幅減益になりました。300ミリのロジック向けエピタキシャルウェハが月を追って好調になっているもようです。営業利益率も傾向的に上昇しており、2021年3月期3Qは40.3%になりました(2020年3月期3Qは37.9%)。一方で、メモリ向けポリッシュドウェハは、全体では堅調な動きが続いていますが、顧客によって在庫水準と発注の勢いに違いがあるもようです。
2021年の長期契約価格は300ミリ、200ミリとも2020年比で横ばいとなったもようですが、昨年12月から300ミリ、200ミリともに需要が急増しているため、2021年3月期4Qの業績にはある程度期待できそうです。
5)電子・機能材料
電子・機能材料は、売上高604億円(同7.1%増)、営業利益180億円(同0.6%減)となりました。HDD向け、自動車向け(EV向けを含む)希土類磁石、ArF、EUV用レジストが好調でしたが、光ファイバー用プリフォーム(光ファイバーの原材料)、大型パネル用フォトマスク基板が不振で、相殺されました。
表5 信越化学工業のセグメント別業績:四半期ベース
表6 信越化学工業のセグメント別業績:通期ベース
グラフ3 信越化学工業の塩ビ値上げ幅