2020年通期に2%の増益確保、下期の不良債権処理加速で資産の質が改善

現地コード 銘柄名
00998

中信銀行

(チャイナ・シティック・バンク)

株価 情報種類

3.83HKD
(3/26現在)

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 中信集団傘下の中堅銀行、中信銀行の2020年12月本決算は、純利益が前年比2.0%増の489億8,000万元と、BOCIの予想を10.1%上回った。減損損失が予想より小さかったことが背景。業務規模の拡大を受け、引当前の業務純益(営業利益に相当)は前年比5.3%の伸びを示した。また、不良債権処理を強化したことで、資産の質は改善。ROAE(平均株主資本利益率)、ROAA(平均資産利益率)はそれぞれ10.11%、0.69%と、前年比では0.96ポイント、0.07ポイント低下した。BOCIは目標株価(2021年予想PBR0.36倍)を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2020年12月末時点の資産、負債、貸出、預金はそれぞれ、前四半期比で2.6%、2.6%、2.6%、0.9%増。資産サイドでは貸出の伸び、負債サイドでは銀行間預金の伸びが10-12月期の規模の拡大を支えた。経営陣によれば、資産規模は2021年に前年比約9%の伸びを示す見通しという。

 純金利マージン(NIM)は2020年に2.26%と、前年比で0.19ポイント縮小した。法人向け、個人向けローンの平均利回りは0.35ポイント、0.05ポイント後退。平均コストは0.01ポイント、0.03ポイント上向いた。景気テコ入れとしての金利の低下や、コロナ禍を受けたクレジットカードローンの低成長、さらには資源配置の見直しなどがNIM縮小の背景。経営陣は2021年も、NIM縮小圧力が続くとみる。

 一方、資産の質に関する指標は全般で改善し、不良債権比率は20年末に1.64%と、9月末比で0.34ポイント低下。不良債権残高は15.0%縮小した。6月中間期の段階で、BOCIは先々の資産劣化を懸念していたが、同行は下期に基準を厳格化し、不良債権処理を加速。上期比で93.8%増となる456億元規模の償却および売却を実施し(2020年通期では前年比13.9%増)、不良債権指標の改善につなげた。半面、不良債権引当金の計上ペースは下期にスローダウンし、2020年通年では前年比わずか0.7%増(上期は前年同期比13.9%増)。期末の不良債権カバー率は9月末を1.60ポイント上回る171.68%だった。

 役務取引等利益(正味手数料収入)は2020年通期に前年比7.9%増。1-9月期の前年同期比1%の小幅増から加速した。カストディアン(有価証券の保管・管理)およびその他信託ビジネスの委託手数料の伸び(前年比42.1%増)が寄与した形。中でも富裕層向けウェルスマネジメントビジネスとファンド向けカストディアン業務が好調だった。

 BOCIは主に引当金に関する想定値引き下げを受け、21年、22年の利益見通しを2.6%、2.9%増額修正した。同行の現在株価は21年予想PBR(株価純資産倍率)で0.31倍の水準にあり、BOCIは低バリュエーションを指摘。マーケットの悲観ムードが変われば、反転上昇すると指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。