20年本決算は11%増益、上海ガスとの資本提携効果に期待

現地コード 銘柄名
01083

港華燃気控股

(タウンガス・チャイナ)

株価 情報種類

3.50HKD
(3/19現在)

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 タウンガス・チャイナの2020年12月本決算は、純利益が前年比11%増の14億4,700万HKドルと、ほぼBOCIの予想通りの水準だった。主にガス販売量の8%の伸びが寄与した。BOCIはこの先、ガス販売量の伸びが加速するとともに、パンデミックで前年実績が低いガス管接続業務も伸びるとの見方。さらに同社が持続的な成長に向けて多角的な取り組みを進めている点に言及し、2020年に高成長を遂げた同業の上海燃気(Shanghai Gas)との資本提携を前向きに評価している。また、インセンティブスキームの導入見通しを理由に、同社株価の下落余地は限定的との見方。2021年、2022年の利益見通しを3-6%増額し、株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。

 2021年のガス販売量について、経営陣は10%台半ばの伸びを見込む。前年実績の低さから、BOCIはこの水準は達成可能との見方。特に1-3月期に関しては前年同期比30%超の伸びを見込む。また、2020年に落ち込んだガス管接続件数も、2021年には約100万件に達するとみる。

 同社は株式の相互持ち合いという形で上海燃気と資本提携する計画だが、上海燃気の20年の純利益は前年比37%増の8億5,000万元。個人顧客数が630万世帯から640万世帯に増える半面、ガス販売量は5%減の89億立方メートルだった。ただ、前年実績の低さから、2021年のガス販売量と利益は2桁成長を達成する見込み。そうなれば、この資本提携に対する市場の評価がさらに上向くことになる。

 上海燃気との資本提携が完了した後、同社は新たに2,000万世帯にアクセスするチャンスを生かし、キッチン家電や保険、顧客向けファイナンスなどのビジネス拡大につなげる方針。最終筆頭株主である香港系財閥の李兆基ファミリー(旗艦企業は恒基兆業地産(00012))が投資するオンラインプラットフォーム、「Day Day Cook(日日煮)」の人気に乗じたオフラインストアの開業も視野に入れる。関連会社や合弁会社を含む売上高を、2021年の10億元から2025年には47億元に引き上げることが目標という。

 同社はインセンティブスキームを策定中だが、各種のKPI(主要業績評価指標)をクリアした場合に管理職者らが株式報酬を受けられるスキームとなる見込み。その報酬分を確保するため、同社はマーケットで最大5%の自社株買いを行う計画であり、その結果、株価の下落余地は限定的となる見通しという。

 BOCIは成長見通しの上方修正に伴い、フォワードPER(株価収益率)8倍(同7倍から上方修正)をあてはめて目標株価を引き上げた。新たな目標値は21年予想PBR(株価純資産倍率)で0.6倍相当。2021年予想ROE(株主資本利益率)が約8%であることを考慮すれば、この水準は妥当としている。一方、レーティングの見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、ガス管接続業務や利幅が予想外に低迷する可能性を挙げている。