2020年本決算は好調、23年までに市場シェア30%の目標達成へ

現地コード 銘柄名
06186

中国飛鶴

(チャイナ・フェイフー)

株価 情報種類

21.55HKD
(3/19現在)

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 中国の粉ミルク最大手、中国飛鶴は2020年12月通期に好決算を達成した。売上高は前年比35.5%増の185億9,200万元と、BOCIの予想(185億5,600万元)を上回る水準。酪農大手の原生態牧業(YST:01431)の買収益を除外したコア利益は同56.4%増の61億5,500万元と、BOCIの予想から11%上振れた。乳児用粉ミルクの粗利益率が下期に75.9%に上向いたことや営業利益率の安定的な推移が好決算に寄与した。BOCIは同社が国内ブランドだけでなく、海外ブランドとの競争からも頭一つ抜け出す可能性を指摘。その理由として、幅広い商品ラインアップを持つ「星飛帆」(Astrobaby)ブランドとその他新規ブランドの力強さや、20年末に販売拠点1万1,000超を数えた強力な販売・物流ネットワーク、突出した顧客ケアレベルと浸透度などを挙げた。乳児用ミルク市場でナンバーワンの座を維持する見通しを示し、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 乳児用粉ミルク部門の売上高は2020年下期に前年同期比29.7%増(上期は同56.2%増)。製品構成の高付加価値化を背景に、部門粗利益率は下期に過去最高の75.9%を記録した。値引き率が相対的に小さい高価格帯の「星飛帆」シリーズと、オーガニックブランド「臻稚」(Zhenzhi)のウエートの拡大が寄与した。また、栄養補助食品事業も上期の不振から抜け出し、下期に12.5%の増収を確保。粗利益率も39.1%に達した。これにより、同社全体の粗利益率は2020年通期に72.5%と、前年の70.0%から上昇。コア営業利益率も1.8ポイント上向き、42.5%に達している。BOCIはこうした数字が、原生態牧業の買収に伴う利幅悪化懸念を払拭(ふっしょく)するとの見方。川上・川下ビジネスの統合に伴う経営効率の改善を証明できるとみる。このほか、主に税率の低下(2019年の30.8%に対して20年は24.9%)が寄与し、2020年のコア純利益率は前年を4.3ポイント上回る33.0%と、予想(29.6%)を上回る数字となった。

 BOCIは2023年の売上高が334億元に達するとみており、この予測値に基づく20-23年の増収率は年率平均22%。乳児用粉ミルク市場における同社シェアが2020年末現在、全体で18%、オフライン限定で20%に上る点を指摘し、2023年までにシェア30%を目指すという同社目標は十分に達成可能との認識を示した。最近の販路リサーチによれば、同社は中国南部および南西部市場で浸透度が低く、その分、今後の成長余力が大きいという。一方、2023年2月には·粉ミルクに関する新たな国家基準が施行される見込み。小規模メーカーは淘汰(とうた)される可能性があり、結果的に同社に有利となる可能性が高い。

 BOCIは粗利益率の想定値引き上げに伴い、2021年、2022年の予想純利益を6%、7%増額修正。引き続き2021年予想PER(株価収益率)25.0倍をあてはめ、目標株価を引き上げた。潜在リスク要因としては、国内の出生数の急速な減少と競争激化を挙げている。