WTI 原油先物の出来高は、1年でなんと20%減。出来高減少が価格のブレ幅拡大の一因

 以下は、WTI原油先物の出来高の推移です。2020年春を境に、WTI原油先物全限月、期近のみ、ともに急減しています。急減したタイミングは、同原油価格が史上初めて“マイナス”をつけた(2020年4月20日)タイミングと、ほぼ同じです。

図:WTI原油先物の出来高と期近比率

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 出来高は、その市場でどれだけ売買が行われたのかを示す、バロメータです。その市場の人気の指標とも言えます。マイナス価格をつけた期近限月のみならず、全限月で出来高の急減が見られた、ということはWTI原油先物市場全体の地盤沈下を予感させる出来事と言えます。

 出来高が少ない市場では、しばしば、価格上昇時に余計に上振れする、価格下落時に余計に下振れする、などの事象が起きることがあります。その意味では、現在のWTI原油先物市場の上昇の一部は、出来高が急減したことをきっかけとした、“板の薄さ”によるもの、といえるかもしれません。

“実態+期待+ブレ幅拡大観測”で、短期的に70ドル回復もあるか

 原油市場は目先、上値を伸ばす、具体的にはWTI原油(期近)で、1バレルあたり70ドルを付ける可能性があると、筆者は考えています。バイデン政権発足後、続く、原油価格の上昇は、まだ続くとみています。

 データが示す“実態”、ワクチン流通・金融緩和がもたらす“期待”、そして出来高減少がもたらす“ブレ幅拡大観測”。これらの3点が継続していれば、たとえ、クリーンエネルギーが台頭する観測が強まったとしても、原油価格は上昇する可能性があると、筆者は考えています。

 イメージで原油相場を語ることはできません。今どきの原油相場は、実態、期待、ブレ幅拡大観測の3つを、まんべんなく確認することが必要です。

図:WTI原油先物(期近 月足 終値) 単位:ドル/バレル

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 [参考]具体的な原油関連の投資商品

国内ETF/ETN

WTI原油上場投資信託 (東証)1690
NF原油インデックス連動型上場(東証)1699
NEXT NOTES 日経TOCOM原油ブル2038
NEXT NOTES 日経TOCOM原油ベア2039

投資信託

UBS原油先物ファンド

外国株

エクソンモービルXOM
シェブロンCVX
トタルTOT
コノコフィリップスCOP
BPBP