まず良い会社を探せ!

 良い会社は先に述べたように、極端に割高に買われてしまっている場合を除き、良い投資対象です。

 すると……良い株に投資するには、まず良い会社を探す必要があります。

 良い会社を過去の業績から定義することは可能です。でも難しい数字の議論に入る前に、ここでは「どんな会社が、良い会社に育っていくのか?」という問題について論じます。

 良い会社に育つ可能性を持つ企業とは、その会社の製品やサービスが、熱烈に、ないしは切実に必要とされているような企業です。

 こういうと難しく聞こえるかもしれませんが、実例は我々の身の回りにゴロゴロ転がっています。

ユーザーは既に良いモノを知っている!

 例えば皆さんがiPhone(アイフォーン)を手にしたとします。手に持ったときの質感、作りの精緻(せいち)さ、シンプルで無駄のない美しさ……もし、そこにワクワクするものを感じたなら、きっとその製品は良いモノに違いありません。

 言い換えれば、皆さんは製品やサービスを通じて、すでにその企業のことについて多くを知っているのです。だから投資に際しては「このブランド、好き!」というような直感を大切にしてください。魅力的な商品やサービスは、人気が出ます。つまり「売れる」ということです。それは良い業績につながります。

 でもこれだけでは良い会社とは言えません。良い会社に育つ「可能性を持っている」と、実際に良い会社に伸びるのでは、雲泥の差があるのです。良い会社になるためには、先で述べたような成功を、何度でも繰り返し実現できることが必要なのです。

 そういう成功の積み重ねの結果が、他社に比べてひときわ輝く業績として、決算書類の上に動かぬ証拠を残していくというわけです。