20年本決算は予想通り、WTEの効率低迷と利益率の悪化を懸念

現地コード 銘柄名
00257

中国光大環境

(チャイナ・エバーブライト・エンバイロメント・グループ)

株価 情報種類

4.85HKD
(3/12現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 ごみ処理発電(WTE)事業を主力とする中国政府系の環境事業者、中国光大環境の20年12月通期の純利益は、BOCIの予想および市場コンセンサス予想の範囲内だった(売上高は前年比14.3%増の429億2,600万HKドル、純利益は15.6%増の60億1,600万HKドル)。営業キャッシュフローは予想以上に力強かったが、WTEの発電効率の伸び悩みや営業利益率の不安定さが懸念材料。BOCIは目標株価を小幅に引き下げながらも、現在株価の低バリュエーションを指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 経営陣が明らかにした最新情報を見ると、20年の営業キャッシュフロー(ノーマライズドベース)は前年比17%増の52億HKドル。21年の設備投資は250億HKドルと、前年の210億HKドルを上回る見通しという。また、新規のWTEプロジェクトの電気料金をめぐって不確実性が存在するにもかかわらず、同社の新規獲得プロジェクトのIRR(内部収益率)は、最悪でも10%に達する見込み。仮に補助金が削減されても、ごみ処理費用の引き上げにより、マイナス影響を相殺できる可能性が高いという。こうした状況から、経営陣は引き続き、WTEを成長戦略の柱に位置付ける方針。21年の設備投資の60%をWTEに振り向ける計画を示している。

 一方、次世代型の焼却炉を継続的に稼働させているにもかかわらず、BOCIによれば、WTE部門の焼却効率は過去18カ月にわたって停滞している。これは同社が事業を拡大させている中国北部での発熱量の低さが主な原因。BOCIは効率改善ペースが予想以上に鈍いとして、単位当たり発電量に関する想定値を約8%下方修正した。

 20年下期にはWTE部門の利幅が大きく低下。BOCIが昨年から予想していた通り、営業利益率(EBITDAベース)は上期を21ポイント下回る推定40%まで後退した。経営陣は決算説明会の場で、「メンテナンス作業が下期に集中した」「従業員向けボーナスを下期に計上した」ことを理由に挙げたが、BOCIはこれだけでは説明不十分との見解。21-22年の営業利益率に関する想定値を引き下げた。

 また、これに伴い、21-22年の予想純利益を4-5%減額修正したものの、現在株価のバリュエーションの低さを考慮し、株価の先行きに対する強気見通しを据え置いた。潜在的な支援材料としては、政府当局による補助金支払いの履行や本土A株市場への重複上場計画などを指摘している。

 一方、レーティング引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、施設建設ペースが予想を下回る可能性、営業経費が予想以上に膨らむ可能性、政策的な風向きが逆風に変わる可能性を挙げている。