各種指標に沿って優良銘柄選択、碧桂園服務と雅生活智慧を有力視
BOCIは不動産管理銘柄の中から優良銘柄を選び出すため、事業規模、親会社の支援、第三者からのサービス受託能力、ブランド認知度、専門管理能力、先進技術などを個別に評価。住宅以外の不動産の管理能力や長期的な競争優位につながる付加価値サービスの執行力に目を向け、各種指標に沿って管理銘柄をランク付けした。その結果、20年の高成長が見込める大手2社、碧桂園服務(06098)と雅生活智慧城市服務(03319)を選好。両社の目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
不動産管理市場が20年に前年比2桁ペースで拡大したと推定される中、まず各社の収益成長のカギを握るのは事業規模。実際、大手30社の20年の増収率は業界平均を上回ったとみられ、管理面積が大きいほどコスト効率が高いとの結果も示された。この規模の点で、碧桂園服務と雅生活智慧城市服務は20年上期にトップクラスだった。
また、大手デベロッパーを親会社に持つ管理銘柄は営業リスクを抑制できる点で有利だが、親会社以外の第三者からのサービス受託においても有利な立ち位置にある。ブランド知名度が高く、全国規模で事業展開していることがその理由。うち碧桂園服務は20年に、市場の予想を上回るペースで第三者プロジェクトを取得した可能性が高い。
一方、住宅以外の不動産管理は、中国ではいまだブルーオーシャン(未開拓市場)に等しく、管理料金が高い上に回収率も高い。強みを持つ企業は少数で、碧桂園服務がその1社。営業規模の大きさや先行優位を活かし、非住宅を対象に全面的な管理サービスを提供する。また、雅生活智慧城市服務は中民未來物業服と民瑞物業服務の買収を通じてこの分野に参入。20年上期には、非住宅の管理面積で業界最大手に浮上した。
このほか、付加価値サービスの展開は長期的な成長性を押し上げ、参入障壁を築くというメリットがある。収益源の多様化につながるだけでなく、経験や技術インフラが求められるために、相対的にサービス価格が高く利幅が厚い。碧桂園服務と雅生活智慧城市服務の両社はこの分野においても存在感が大きい。
先進技術の導入はコスト効率の改善につながる要因。BOCIの試算では、伝統的なコミュニティー1カ所でオートメーション化を実施した場合、人件費の約40%の削減が可能になるという。最も総合的なモバイルプラットフォーム機能を活用し、技術特許を多数保有する碧桂園服務は、この点で明らかに優位にある。
BOCIは不動産管理銘柄の支援材料として、20年本決算のポジティブサプライズの可能性や、業界内の潜在的なM&A(企業の買収や合併)活動、業界支援につながる政策発表の可能性などを指摘。半面、潜在リスク要因としては、新築住宅販売の鈍化につながる不動産政策の導入や、M&Aの活発化に伴う買収時のコスト増、付加価値サービスへの投資に伴う短期的なコスト増、人件費の増大などの可能性を挙げている。