20年通期は2%増益、マカオ観光業の回復で21年に一段の業績回復見通し

現地コード 銘柄名
01883

中信国際電訊集団

(シティック・テレコム・インターナショナル・ホールディングス)

株価 情報種類

2.67HKD
(3/5現在)

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 中国中信傘下の通信サービスプロバイダー、中信国際電訊の20年12月通期決算の売上高、純利益はいずれも、BOCIの予想を上回った。「A2P SMS」(企業から消費者に送信するショートメッセージサービス)業務の力強い伸びが背景。BOCIは続く21年について、5Gネットワークの全面的な設置やIDC(インターネットデータセンター)の増設が完了すると予想。マカオのインバウンドの回復が大きな追い風となる見通しを示した。また、配当性向の引き上げや健全なキャッシュフロー見通しを理由に、全体相場の調整局面においても同社株価が抵抗力を発揮するとの見方。21-22年の利益見通しを2.8%、3.1%増額修正した上で、目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

 20年本決算の売上高は前年比1.0%減の89億2,300万HKドル。純利益は前年比2.1%増の10億2,000万HKドルと、BOCIの予想を2%上回った。ハードウエア販売を除くサービス収入は前年比7.9%増の80億HKドルと、予想を2.3%上回る水準。新型コロナウイルスの影響やローミング利用量の減少でモバイルサービス収入は23%落ち込んだものの、国際通信サービス収入の39.8%増がこれを十二分に補った。一方、期末配当は1株当たり0.16HKドル(前年は0.15HKドル)。20年通期の配当性向は74%に上向いた。

 同社は21年半ばまでに、マカオの屋内外に、全面的に5Gネットワークを整備する計画。これに伴い、18カ国・地域をカバーする5G国際ローミングサービスを始動させる。また、21年半ばまでには「シティック・テレコム・タワー」内でのIDC第3期拡張計画も完了し、容量が上乗せされる見通しとなった。

 企業向けサービス部門では、同社は東南アジア市場の開拓に照準を合わせている。同地域にICT(情報通信技術)専門スタッフから成る強力なチームを配置。音声・モバイルサービスやインターネットアクセス、クラウドサービス、システム統合、システムマネジメントサービスなど、ICTのワンストップ型サービスの提供を目指す。

 BOCIは企業向けショートメッセージサービスの売り上げ見通しを引き上げる半面、携帯端末の販売見通しを引き下げ、21-22年の利益見通しを2.8%、3.1%増額修正。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を据え置いた。配当性向の継続的な引き上げが、全体相場の逆風下で株主信頼感の維持に寄与するとの見方。今後のマカオ観光業の回復が追い風になるとし、リスク・リワードの点から現在株価の魅力を指摘している。半面、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としても、マカオのインバウンド回復を取り巻く不透明感を挙げている。