20年10-12月期は小幅増収、中国・韓国でシェア回復傾向

現地コード 銘柄名
01876

百威亜太控股

(バドワイザーAPAC)

株価 情報種類

27.20HKD
(2/25現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの20年10-12月期決算は、ほぼBOCIの予想通りの内容だった。販売量が前年同期比で3.7%落ち込む半面、平均販売価格が2.8%上向き、売上高は1.0%の微減、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は4.8%増。ただ、中国と韓国事業に絡む税監査・調査の結果、期中の税負担が7,700万米ドル(税率83.7%相当)に膨らみ、純利益は1,300万米ドルと、予想(6,900万米ドル)を下回った。BOCIは中国での製品構成の高付加価値化やネット販路の拡大、韓国での10-12月期のシェア回復などを前向きに評価。目標株価を小幅に引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIは10-12月期決算に基本的にサプライズはなかったとの認識。地域別では中国とインドを含む「APAC西部」でのビール販売量が前年同期比0.8%減。平均販売価格は1.0%高だった。中国では21年の旧正月がやや遅く、10-12月のビール生産量が約9%減少したが、同社の販売量は0.9%増。平均販売価格はプレミアムおよびスーパープレミアムビールの1桁台半ばの販売増で0.4%上向いた。中国でのシェアは10-12月に推定1.4ポイント上昇。20年通期のシェアの低下幅は0.55ポイントに縮小した。

 一方、韓国を主力とする「APAC東部」の売上高は、10-12月に前年同期比7.6%減。新型コロナの影響や競争激化を背景とする販売量の11.6%の落ち込みが響いたが、平均販売価格は製品構成の高価格化を受けて4.4%上向いた。韓国では、同社シェアは20年に2.2ポイント後退したが、「CASS」ビールの好調を背景に、業務用のシェアは10-12月期に回復傾向を見せた。BOCIは韓国プレミアムビール市場における同社のリーダーシップは安泰との見方。製品ラインの充実度や、「CASS0.0」「HANMAC」「Happoushu」などに代表される製品イノベーションをその理由としている。

 20年には新型コロナが打撃となったが、手元現金が増加し、純負債比率が一段と改善するなど、バランスシートは健全。配当金は総額3億7,500万米ドルで、配当性向は73%。総額ベースで前年比7.7%の増配となった。

 BOCIは決算発表後、収益見通しをわずかに調整した。21年に関しては販売量の前年比11.8%増と平均価格の6.5%の上昇を想定し、19.1%の増収を見込む。予想販売量は依然、コロナ前の19年実績を3%下回るが、予想平均販売価格は4%上回るという。また、APAC西部と東部の両部門に、引き続き21年予想EV/EBITDA倍率25.0倍、13.0倍を当てはめ、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を小幅に下方修正。短期的にはやや慎重ながらも中期見通しを楽観。理由として製品構成の優良化やイノベーションの継続、各市場への個別対応力、高い執行力、潤沢なキャッシュフローに基づく危機対応力、韓国でのシェア回復などを挙げ、同社株価の支援材料になるとみている。