中国が東京五輪を支持する5つの理由
ここからは、5つの理由について一つ一つ見ていきます。
1つ目:アジアの世紀と台頭を証明したいから
世界秩序を考えるとき、先進国と途上国、西側と東側、民主主義国と開発独裁国、大国と小国など、さまざまな区分があるでしょう。自称「世界最大の発展途上国」の中国は、自らがアジアに属しているという意識が強固です。例として、2014年5月、習近平主席が上海で開催されたアジア相互協力信頼醸成会議(CICA)の首脳会合で演説した際に、「アジアの問題はアジアの人々の手で解決すべきだ」と述べ、米国の関係者から「中国はアジアから米国を排除しようとしているのか」と受け取られ、物議を醸したことがあります。
地政学や勢力範囲といった戦略的考慮も働いていますが、いずれにせよ、中国は、先進国か途上国か、民主主義国か「開発独裁」国かは別として、「アジアの国家」という、自らが所属、立脚する拠点として掲げ、特に米国をはじめとする西側諸国へのけん制、挑戦としたいのです。
2020年11月、中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相が訪日し、日本の茂木敏充外相と会談をした際、「中日が五輪をめぐる協力を通じて、両国民の友好を促進し、アジアの国際五輪事業への貢献度を向上させることを願っている」と語っています。