財務の健全性や潤沢な保有用地が強み、今後の収益成長を楽観

現地コード 銘柄名
02007

碧桂園控股

(カントリー・ガーデン)

株価 情報種類

9.26HKD
(2/16現在)

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 BOCIは不動産開発大手の碧桂園控股の20年12月通期の売上高とコアEPS(1株当たり利益)見通しを減額修正した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一部小都市での建設工事に遅れが出たことや、利幅の低い2級都市での物件開発プロジェクトの多くが計上対象となることが理由。目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する見方を「強気」から、「強気」へ一段階引き下げた。ただ、力強い財務ポジションを背景に大手同業他社を上回る規模の開発用地の取得やこの先の2桁成長見通し、業界最大手としての地位などを前向きに評価。決算発表シーズンの株価調整局面は買いの好機につながるとみている。

 中国本土の不動産銘柄に関しては、政府当局が20年9月に試験運用を始めた過剰債務抑制策、「3本のレッドライン」(中国語で「三条紅線」)の影響が大きい。負債比率に関する3つの上限を設定し、これに抵触したデベロッパーを対象に融資制限を実施するもので、3つ全てに抵触すれば「赤」、2つなら「オレンジ」、1つなら「黄」に分類され、いずれも抵触しない「緑」への移行が求められる。碧桂園控股は20年12月2日時点で「黄」。BOCIの分析によれば、「赤」カテゴリーのデベロッパーが「緑」を目指すと、ROE(株主資本利益率)の50%超の縮小を余儀なくされるが、「黄」に属する同社の場合は最大でも30%。ROEは相対的に高水準の約20%を維持する見通しという。

 一方、BOCIの分析では、同社の20年の土地取得額は2,090億元(持分換算)と、業界最多。2位の同業他社より22%多く、3位を50%上回った。また、同社の場合、保有用地の価値の対コスト比率は通常約3.3倍と、より大都市志向の強い同業他社の約2.5倍を上回る水準。こうした点から、業界最大手としての地位を維持し、高成長を達成する上で十分すぎるほどの土地を確保したとみられる。

 BOCIは20年の予想売上高を9.3%減額修正したが、これは新型コロナの影響で、特に小都市部で人手の確保が難しくなり、工事に遅れが生じたことが主な理由。ただ、その後は感染抑え込みに成果を上げており、今後は悪影響が和らぐ可能性が高い。

 粗利益率は20年通期の約23%で底を打つ見込み。16-17年に土地を取得した2級都市での低利幅プロジェクトの大半が同期に計上されるため。競争環境の厳しい都市での事業比率を抑えたことから、今後は粗利益率の改善が期待できるという。20年に取得したプロジェクトの粗利益率に関しては、24%超を見込む。

 BOCIは粗利益率に関する想定値の引き下げを受け、1株当たり予想NAV(純資産価値)を10%下方修正し、26.77HKドルに設定。これに伴い目標株価を引き下げた。現在株価の21年予想PBR(株価純資産倍率)は0.8倍、予想PER(株価収益率)は2.9倍。業界最大手としての地位やバランスシートの健全性、高収益率を考慮すれば、現在のバリュエーションは魅力的な水準にあると指摘している。