石油ガス生産量は向こう3年で年平均7%増、一段の米制裁リスクも後退

現地コード 銘柄名
00883

中国海洋石油

(CNOOC)

株価 情報種類

8.45HKD
(2/5現在)

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 中国石油メジャーの一角、CNOOCの石油・ガス生産量は20年に自社目標を3.5%上回った。経営陣が示した目標によれば、生産量は向こう3年間、年率平均約7%増加する見込み。また、設備投資の積み増しにより、21年もRRR(埋蔵量置き換え率)120%の達成を目指す。一方、引き続き懸念材料となるのは米国による制裁の影響。トランプ前政権に「中国人民解放軍と関係が深い企業」と認定されたことで、同社は米国人投資家による証券投資の禁止対象となった。ただ、BOCIは持ち株売却を義務付けられる投資家の多くが、すでに売却済みであると推定し、米国による一段の制裁の可能性も低いとの見方。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 20年の石油・ガス生産量は自社予想を上回る前年比4%増の5億2,800万BOE(石油換算バレル)。続く21年、22年の生産目標をほぼ据え置き(それぞれ5億4,500万-5億5,500万BOE、5億9,000万-6億BOE)、23年の目標を前年比8%増の6億4,000万-6億5,000万BOEに設定した。向こう3年間では年平均約7%の伸びが見込める計算となり、世界の石油E&P(探鉱・生産)会社の中ではトップクラスの伸び率となる。

 21年の目標RRRは前年並みの120%(RRR=保有埋蔵量から当該年度に生産した石油ガスを回復し、翌年度以降も問題なく生産を継続できるか示す数値:期中の確認埋蔵量÷生産量)。そのために21年の設備投資予算を13-26%増やし、900億-1,000億元とする。中国と海外の比率は72対28(20年は70対30)で、国内投資は16-29%増の見込み。これは同系列の油田サービス最大手、中海油田服務(02883)の追い風となる。

 米国の政権交代を受け、BOCIは制裁強化の可能性は後退したとの見方。バイデン政権が実際、米国人投資家による投資禁止の発効日を4カ月延期し、5月27日としたことに言及した。また、最初に米制裁に関するニュースが伝わった後、CNOOC株の約46%が売買対象となった点を挙げ、売却を迫られている投資家はすでに株を手放したと説明している。BOCIの推計では、米国人投資家の持ち株比率は制裁発表前で10%台半ば程度。米国人が手放すと同時に本土資金が買いに動き、本土投資家の持ち株比率は制裁情報が伝わる前の20年11月27日の1%から現時点では推定約11%に上昇したという。11月27日以降はブレント原油相場が21%上昇する半面、同社株価は11%下落したが、売り圧力の後退に伴い、今後は原油相場と足並みをそろえた動きになる可能性が高い。

 BOCIは20-22年の利益見通しを2-6%引き上げた。予想を上回る20年の生産実績を織り込んだ上、採算の良い国内生産の比重が21-22年に上向く見通しを反映させた。21年予想NAV(予想純資産価値)を10.54HKドルから10.75HKドルに上方修正し、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き上げた。レーティング見直しにつながるリスク要因として原油相場の急落と予想以上のコスト増を挙げている。