米株市場が軟調な展開となった際は要注意

 最後に米国株市場についても見ていきます。

■(図4)米NYダウ(日足)とMACD(2021年2月19日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 最近のNYダウ平均株価は最高値を更新するなど、株価水準自体は堅調なのですが、チャートで値動きをたどると、積極的に上値を伸ばしているわけではありません。

 実際に、ローソク足の形を見ると、実体が短く、ヒゲが長いものが多くなっており、「上昇しては5日移動平均線まで押される」、「下落しては5日移動平均線まで買い戻される」といった具合に、5日移動平均線を意識する展開が目立つようになっています。かといって、5日、25日、75日、200日のすべての移動平均線が右肩上がりとなっているため、何だかんだで上昇基調が続いています。

 株価材料面での背景としては、米追加経済政策の動向待ちや、米長期金利上昇への警戒、米国南部を襲った寒波による経済・生活への影響の見極めなどが挙げられますが、引き続きこれらの動向に振り回される場面がありそうです。

■(図5)米NASDAQ(週足)の動き(2021年2月19日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NASDAQについては、チャート(週足)の見た目の印象では順調そのものに見えますが、先週と前週のローソク足の組み合わせが「包み足」となっています。

 天井圏での「包み足」や「はらみ足」には注意が必要で、上の図5のチャートをさかのぼると、昨年の10月と9月には「包み足」、2月と1月には「はらみ足」がそれぞれ出現しましたが、その後に調整局面を迎えていたことが分かります。

 今週は国内の経済指標や企業決算などの発表が少なく、米国株市場の動きに引っ張られやすくなりそうなため、米株市場が軟調な展開となった際には注意が必要です。

 もっとも、相場を取り巻くムードはかなり先高観が強く、目先のネガティブな状況や不安よりもその先にある明るい未来の方に視線が向いています。先週のオプション取引市場では、3万9,000円や4万円といった、これまでの最高値(3万8,915円)を超える権利行使価格のコールオプションが約定するなど、少し気の早い動きも出てきています。

 今後も中期的な実体経済の正常化の流れは続くと思われますが、実際のそのスピード感と、足元の相場ムードのテンションの高さとのあいだで温度差も生じています。株価の下落は押し目買いの好機となりますが、目先の下落が調整局面入りとなることも想定されるため、買いを入れるのは底入れから反発するタイミングを待つのが良いかもしれません。