短期的な上昇要因。カギはビットコイン⁉
多くの場合、投機資金の動向を伝える際、CFTC(米商品先物取引委員会)の非商業筋のネット(正味)の買いポジションの動向に注目しますが、同データは金曜日に公表され、かつその内容はその週の火曜日時点であるため、やや、速報性に欠けます。
このため、先週のプラチナ価格の急上昇を説明する上で、本レポートでは、投機的な値動きの最たるサンプルとも言える、ビットコインの動向を、投機筋の動向と仮置きします。以下のグラフは、ビットコイン価格とプラチナ価格の推移を示しています。
図:ビットコイン価格とプラチナ価格の推移
2月5日(金)を機に、ともに、騰勢を強めていることが分かります。この値動きが、冒頭のジャンル横断騰落率ランキングで述べた、ビットコイン+26.1%とプラチナ+11.1%の背景です。(程度(率)は異なれども、同日を機に騰勢を強めた点は同じです)
先週のジャンル横断騰落率ランキングでは、ドルと一部の穀物を除き、ほとんどの銘柄が上昇しました。全体的に“リスク・オン”だったと述べましたが、それを先導したのが、投機的な値動きの象徴とも言える、ビットコインで、プラチナはそれに最も近い位置で追随したと筆者は考えています。
つまり、ビットコインの急上昇が、全体的な“リスク・オン”のムードをより強め、その流れに乗じ、プラチナが上昇したのではないか、ということです。単純に、プラチナに投機資金が流れ込んでいるのではないか、というプラチナ単体の議論ではなく、全体のムードと、それを象徴するビットコインの動向を合わせて考えることが、先週のプラチナの値動きを説明する上で有用だと考えます。
ビットコインの急上昇は、電気自動車(EV)の分野で世界をリードするテスラが、自社のサービスにビットコインを組み入れることを表明した、また、カナダの当局が、世界初のビットコインETF(上場投資信託)を組成することについて承認する見通しとなった、など、昨年から続く、暗号資産の代表格であるビットコインの通貨としての立ち位置を向上させる動きが、さらに目立ったことによって発生したと考えられます。
目先、短期的に、投機の象徴とも言えるビットコインがなお、騰勢を強め、かつ、ジャンルを横断した多数の主要銘柄が上昇する“リスク・オン”が続けば、プラチナもそれらに追随し、短期的になお、上値を伸ばす可能性があると、筆者は考えています。