成長著しい共同購入ビジネスの「勝者」、新規事業が成長エンジンに

現地コード 銘柄名
03690

美団

(メイトゥアン)

株価 情報種類

355.80HKD
(2/1現在)

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 北京貴士信息科技(QuestMobile)の調査によると、地域コミュニティーベースの生鮮食品共同購入サービスのアクティブユーザー数は、20年末に国内全体で2億5,300万人に達した。うち生活関連サイト大手の美団が展開する「美団優選」(Meituan Select)の同ユーザー数は9,500万人。BOCIは急成長を遂げる共同購入市場の「勝者」として、美団を評価。20-22年の予想売上高を3-16.4%増額修正した。さらに低金利環境を理由に、WACC(加重平均資本コスト)に関する想定値を引き下げ、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を大幅に上方修正した。ほかにネット出前事業の予想以上の好調やホテル・旅行業務の回復を見込みながらも、新規事業の初期赤字が利益圧迫要因になるとみている。

 QuestMobileによれば、本格的な事業開始から間もない「美団優選」のアクティブユーザー数は20年末に早くも9,500万人に達し、12月の1日当たり注文件数は最大1,000万件を超えた。現時点では2線級都市が主体だが、北京市などでのサービス開始に伴い、今後は1線級都市でプレゼンスを拡大する見通し。BOCIは「美団優選」の急成長を理由に、20年10-12月期の売上高について前年同期比31%増の369億元を見込む(内訳は主力のネット出前事業が38%増、施設予約・ホテル・旅行が13%増、新規事業が33%増)。ただ、共同購入は顧客基盤の拡大に向けた補助金支出やグループリーダー向けインセンティブなどのコスト負担が重く、同事業の赤字は拡大するとみる。

 一方、同社は先ごろ、総合医療健康プラットフォーム「百寿健康」(Baishoujiankang.com)を開設。成長期待の大きいオンライン医療セクターに歩を進めた。BOCIは将来的には手術・美容や医療機器への参入を通じ、医療健康産業におけるプレゼンスを拡大する可能性を指摘。地域消費者サービス市場で最大手の座を固めるとともに、成長エンジンの多様化にもつながるとして、新規ビジネスの開拓を前向きに評価している。

 BOCIは共同購入事業の力強い伸びを反映させる形で、20-22年の予想売上高を3.0%、9.1%、16.4%増額修正しながらも、共同購入やその他新規事業の初期赤字を理由に、予想EPS(1株当たり利益)を33.4%、19.5%、23.5%減額した。一方、リスクフリーレートの調整に伴いWACCを7.4%から7.0%に引き下げ、向こう10年の利益見通しとWACCをベースに、目標株価を大幅に上方修正。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 この先のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、ネット出前市場における競争激化、食の安全性に関する規制強化リスク、安全性の点で実際に問題が発生する可能性、データセキュリティー方面の規制強化リスク、マクロ経済に連動した消費委縮の可能性、新規事業の成長が予想以下にとどまる可能性――などを挙げている。