20年12月通期は4%減益、銀行・テック部門好調も生保が苦戦

現地コード 銘柄名
02318

中国平安保険集団

(ピンアン・インシュランス)

株価 情報種類

89.80HKD
(2/4現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 中国平安保険集団の20年12月本決算は、純利益が前年比4.2%減の1,430億9,900万元、税引き後経常利益が5%増の1,394億7,000万元と、BOCIの予想および市場コンセンサス予想を上回った。予想以上の運用成績や10-12月期の銀行ビジネスの急回復、テクノロジー部門の好調などが背景。ただ、生保の新契約価値(NBV)は前年比で34.7%減少し、BOCIの予想、市場予想をそれぞれ4.3%、5.6%下回った。損保部門では、収益力の指標となる合算率(コンバインドレシオ=正味損害率と正味事業費率との合算値)が20年に99.1%と、前年の96.4%から悪化。保証保険の採算性の改善が一部カバーしたものの、自動車保険の合算率の上昇が響いた。BOCIは目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 生保部門を見ると、主要業務指標が総じて予想を下回った。まず新契約価値(NBV)は20年通期に前年比34.7%、10-12月期には前年同期比60.7%の大幅減。生保会社の企業価値を示すエンベディッドバリューは20年に前年比わずか8.9%の伸びだった。また、長期保障商品に照準を合わせる戦略や外交員の流出が響いたとみられ、13カ月の契約継続率は19年の87.8%から20年に85.5%に後退した。BOCIによれば、うち新契約価値の縮小は、保険料構成の変化とNBVマージンの低下によるもの。外交員チャネルのNBVマージン(非加重)は19年下期の73.5%から20年下期に54.3%に低下した。

 また、生保部門では外交員収入が前年同期比20%減少(非生保商品は45%増)。これにより、外交員数が20年下期に102万人へ一段と縮小した。ただ、BOCIは外交員を取り巻く状況は最悪期を過ぎたとの見方。一足早く開始した21年年初の販促キャンペーンを受け、21年には外交員収入が改善し、結果的に外交員数が再び持ち直すとみる。

 一方、損保部門では、保証保険の総収入保険料が20年下期に前年同期比13%減少したが、これはリスク回避方針が背景。合算率を見ると、自動車保険で下期に推定101.7%まで悪化したが、保証保険では改善。損保部門全体の合算率は99.1%に踏みとどまった。

 銀行部門を見ると、平安銀行(000001)が20年10-12月期に前年比42.8%の利益成長を達成(優先株配当および永久債利子除外前)。上期の11.9%の減益から急回復し、同社全体の10-12月の税引き後経常利益の伸びに寄与した。

 BOCIはSOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく同社の目標株価を据え置いた。21年のNBVマージンの予想以上の回復や、パンデミックの早期収束、銀行部門および上場テック子会社の高ROE(自己資本利益率)などを、株価の支援材料として列挙。逆にレーティング引き下げにつながる可能性がある潜在リスクとしては、新型コロナの影響の長期化や、損保合算率のさらなる悪化、投資先の華夏幸福基業(600340)に絡む損失計上(投資額540億元)の可能性などを挙げている。