TOPIX優位の展開続く。株式市場の先高感は強い

 続いて、TOPIX(東証株価指数)の動きについても見ていきます。

■(図3)TOPIX(日足)とMACD(2021年2月12日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 前回のレポートでは、「TOPIX優位の展開が続き、それにけん引される格好で日経平均も上昇していく展開を想定」していましたが、実際に、上値の目安としていた「N計算値」、つまり、前回の25日移動平均線割れから反発した12月下旬からの上昇幅を元に計算した1,936pを達成しました。

 次の目標となるのは、1月14日高値と2月1日安値の下げ幅を元に計算した「V計算値」、具体的には1,964pになります。

 ちなみに、12日(金)時点のNT倍率(日経平均÷TOPIX)である15.2倍で日経平均の目標値を算出すると、N計算値で2万9,620円、V計算値で3万50円となります。先週の日経平均の週間高値が2万9,650円でしたので、N計算値と同じぐらいとなりました。

 そのため、引き続きTOPIXが上値をトライする展開となれば、日経平均が3万円を超えてさらに進むシナリオがあってもおかしくはないわけですが、今週は個別物色の手掛かりとなっていた企業決算の発表が週初の15日(月)でピークを超えることもあり、株価の先高期待と過熱感の綱引きになる展開も想定されます。

 もっとも、足元の株式市場を取り巻くムードは、経済正常化に伴う景気・企業業績の復調をはじめ、金融緩和の継続観測、米追加経済政策への期待などの他、懸念されていた長期金利の上昇についても、景気回復に伴う「良い金利上昇」であれば、ある程度の金利上昇は許容できるという見方になりつつあり、先高感は強いと言えます。

 となると、株価が下落したところでは押し目買いの好機となるわけですが、今後は「売りの質」を見極めることが重要になってくると思われます。つまり、「下がる」と考える人の売りをこなす局面から、「もういいだろう」と考える人の売りが出始める局面への変化です。

 前者の局面では、強気派と弱気派のせめぎ合いの中で、時折株価が下落するも、最後は買いが優勢になって、売り方の買い戻しを巻き込んでさらに株価が上昇していきます。

 例えば、最近市場を揺るがせた「ゲームストップ株の乱」も、米個人投資家が連携して同社株の買い手となり、売り手のヘッジファンドを締め上げていきました。買いが優勢になると、乗り遅れまいとする投資家の買いも加わって、さらに株価が上昇していき、市場内の勢力図は買い手が多数派になります。

 ただし、その後は買い手の中から売りが出てきて、「今日の友が明日の敵」となっていきます。すると利益確定を急ぐ動きが殺到し始めて後者の局面に入り、株価下落のピッチが早まりやすくなります。現在の状況はまだ前者の局面と思われますが、そろそろ後者の局面を意識しておいても良いかもしれません。

 もっとも、こうした局面の変化を探るのは難しいですし、これといった明確なサインもないのですが、特に大きな材料もなく株価がある程度大きく下がった日には注意かもしれません。市場が「利益確定のまとまった売りに押された」「急ピッチな上昇による調整」程度の受け止めで楽観ムードが継続しているあたりが、後になって「あれが相場の転換期だった」ということがよくありますので、いつでも逃げられる準備をしておく必要がありそうです。