投資環境は良好、この下落局面は押し目買い好機と判断

 この日経平均急落が「宴の終わり」「新たな下げトレンドの開始」を意味するのか、「押し目買い好機」か、議論する必要があります。

 結論から言うと、私は日本株の「押し目買い好機」と判断しています。これには3つの理由があります。

【1】企業業績に回復色が強まってきた

 発表中の10-12月決算は、利益見通しを上方修正する企業が増えています。コロナのダメージが集中する外食・観光・航空・電鉄業などは不振でも、それ以外の産業では、総じて予想以上に収益回復が進んでいることがわかります。

 特に、製造業の回復が目立つことが好材料です。製造業は、今回の緊急事態宣言の影響を今のところあまり受けていません。安全対策をとった上で工場操業は続けています。

 半導体や自動車産業では、需要回復に生産が追いつかず生産現場が繁忙になっています。中国景気回復の恩恵、自動車の世界販売が回復している恩恵が及んでいます。

 自動車産業は裾野の広い産業で、自動車が回復すると、産業用ロボット・電子部品・鉄鋼・化学・非鉄など日本の製造業全般に波及効果が期待されます。

【2】ワクチンへの期待が続いている

 コロナ感染拡大、変異種の広がりなど不安材料はあっても、ワクチンへの期待は続いています。世界最速でワクチン投与を進めるイスラエルで、感染収束の兆しが見えていることが希望の灯となっています。年後半には、ワクチンの大量供給が実現し、コロナが収束に向かい、景気回復色が強まると予想しています。

【3】金融・財政のバックアップ続く

 米国・中国で、大規模な財政出動が行われることも、世界景気回復に寄与します。コロナ収束と財政出動が重なると、米景気は年後半にやや過熱する可能性もあると予想しています。

 パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、大規模な金融緩和を継続すると、表明していることも、世界の株式市場の追い風となります。

 FRBは米国の中央銀行ですが、事実上、世界の中央銀行の役割を果たしています。米ドルが、世界中の金融取引で使われるからです。FRBが量的緩和を続ける効果が、世界的な株高に需給面で寄与します。