高レベル教育に対する需要は旺盛、課外教育を中心に21年以降の成長を楽観

 中国の教育銘柄の20年度本決算がほぼ出そろったが(教育銘柄の多くは決算期が8月)、BOCIの予想通り、中国教育集団(00839)と睿見教育国際(06068)の決算内容が市場の予想を上回った。全般的に見ても、大半の銘柄が売上高、利益ともにプラス成長を確保し、粗利益率、純利益率も上昇傾向。ただ、香港ドル・米ドルに対する人民元相場の上昇を背景とした転換社債の公正価格の変動で、複数銘柄が多額の関連損失を計上した。BOCIは続く21年も政策リスクがくすぶるとしながらも、良質の教育に対する力強い需要が続くと予想。教育銘柄の年内のアウトパフォームを見込んでいる。

 20年度の収益成長を支えたのは、生徒数の伸びや授業料の引き上げ、利益率の拡大、コストの抑制など。個別では中国教育集団と睿見教育国際の決算が市場予想を上回り、中国宇華教育(06169)と中匯集団(00382)は市場の予想通り。一方、中国楓葉教育(01317)は苦戦した。同社の場合、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2-5月の休校で、学費・寮費の一部返済が発生したことなどが響いた。セクター全体の業績は総じて堅調で、配当性向は30%超を維持。個別では、中国教育集団が前年比175%増の大幅増配を発表する半面、中国楓葉教育は配当の実施を見送っている。

 BOCIは教育セクターの中長期見通しを楽観視している。ハイレベルのK12教育(幼稚園-高校)や私立大学教育に対する旺盛な需要を見込み、大手各社の力強い成長が続くとみる。サブセクター別では、塾などに当たる課外教育を最有力視し、これに続くのが私立大学セクター(買収が今後も可能であることが前提)。私大の学士課程教育に対する力強い需要を指摘している。また、政策リスクが相対的に大きいK12に関しても、BOCIは自社の予想より、経営環境は良好との見解。事業の拡大や買収、当事者間取引が依然問題なく行われており、需要も旺盛だとしている。

 課外教育部門に関しては、オフラインの競争環境に大きな変化はないが、オンライン部門ではこの先勢力図が変わる見込み。最大手の「学而思」(xueersi.com)を展開するNY上場の好未来教育集団(TAL)が業界統合を目指す方針を明らかにしており、BOCIは資金力と競争力に優れた同社が、最終的にオンライン部門の勝ち組になるとみている。

 一方、義務教育課程の当事者間取引に関する政策リスクは20年11月、新規定の発表に伴いひとまず払拭(ふっしょく)されたが、21年も引き続き、学費などの面で政策リスクがくすぶる。BOCIはほかに、新型コロナの感染再燃の可能性を潜在リスク要因として指摘している。

 私大銘柄の現在株価の21年度予想PER(株価収益率)は15.8-20.4倍、K12銘柄は8.5-12.0倍。BOCIは大半の私大銘柄、K12銘柄について21年度に15-20%、15%以上の利益成長を見込み、現在株価のバリュエーションは魅力的な水準にあるとしている。個別では中国楓葉教育(中立)を例外に全カバー銘柄の株価の先行きに強気見通しを付与している。