20年の販売台数は3%減、相次ぐ新型車投入で21年に16%増達成へ

現地コード 銘柄名
00175

吉利汽車

(ジーリー・オートモービル)

株価 情報種類

26.45HKD
(1/7現在)

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 吉利汽車の新車販売台数は20年12月に前年同月比18.6%増の15万4,202台に達した。前年同月実績の低さが高成長の一因。20年通年では前年比3.0%減の132万台だったが、国内業界全体(同6%減)より小幅の減少率に踏みとどまった。21年の販売目標は前年比16%増の153万台と、国内全体の新車販売に関するBOCIの予想(13%増)を上回る水準に設定されている。BOCIは20年下期のコスト増を受け、20-22年の利益見通しを1-6%減額修正し、それぞれ65億元、91億元、114億元に設定。さらに、マーケットのリスクオンムードを受け、同社や長城汽車(02333)のような自主ブランド大手の株価バリュエーションがここ10年来の高水準に達したと指摘。同社株価の先行きに強気見通しを継続しつつ、より良い買いタイミングを待つのが得策と指摘している。

 12月の販売台数の内訳を見ると、主力の「吉利」ブランドが前年同月比8.5%増の12万9,349台。ボルボとプラットフォームを共有する「Lynk&Co」ブランドは130.0%増の2万4,853台を記録した。通年では、発売から時間が経った低価格モデル(「遠景」など)の不振が響き、「吉利」ブランドは前年比7.2%減。Lynk&Coは新型モデル「05」「06」などの販売好調や「03」の売れ行き改善が寄与し、37.0%の伸びだった。

 21年の販売目標は16%増の153万台。BOCIは販売増を支える要因として以下の点を指摘している。【1】20年11月に投入したコンパクトセダン「星瑞(XingRui)」の販売台数が2カ月目に早くも1万台を突破した。短期的には半導体チップのひっ迫が響く可能性があるものの、BOCIは「星瑞」の月間販売台数について一段の拡大余地を見込む。【2】21年の相次ぐ新型モデルの投入。ボルボと共同開発したCMAプラットフォームを用いた初のSUVとなる「KX11」(4-6月期後半の発売予定)や、「帝豪」のアップグレードモデル(7-9月)、初のプレミアムスマートEVとなる「ZERO」(7-9月)、Lynk&Coの中大型フラッグシップSUV「EX11」(10-12月)などを順次発売する計画。7-9月には「博越」や「帝豪GL」のモデルチェンジも予定している。

 20年を振り返ると、上期の販売台数は前年同期比18.6%減、下期は11.3%増。ただ、BOCIは原材料コストの高騰や、一部車種の売れ行き鈍化などを考慮し、下期の利益成長率が販売伸び率より小幅にとどまるとの見方。下期の予想純利益を42億4,000万元としている(上期は23億元、前年同期は41億8,000万元)。

 同社株価は現在、21年予想PER(株価収益率)で23.8倍、22年予想PERで18.9倍と、10年来の高水準にある。BOCIは目標株価の算出ベースを21年予想から22年予想に切り替えたのに伴い、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。ただ、冷静なスタンスで、より良い投資タイミングを見極めるよう投資家に助言し、そのチャンスが4-6月中に到来する可能性を指摘している。