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 環境問題対策などを背景としてガソリン車から『EV』(電気自動車)へのシフトが国際的に推進されています。日本でも、政府が2030年代前半までにガソリン車の販売禁止を検討している旨が報道されるなど、政策的な『EV』シフトの後押しが強まると見込まれます。また、自動運転技術の向上も『EV』を増加させていくと見られます。足元では米『EV』メーカーのテスラが2020年生産、販売台数が過去最高に達したと発表しました。

【ポイント1】『EV』シフトが世界の潮流に

 環境問題などへの対策として、ガソリン車から『EV』(電気自動車)へのシフトが国際的な潮流となっています。IEA(国際エネルギー機関)が2020年6月に公表した「世界の電気自動車の今後の見通し」によると、2020年の『EV』保有台数は全世界で1,000万台(2019年720万台)、自動車全体に占める割合は過去最高の3%に達したと見られます。『EV』の伸びは今後も続き、2030年には2億4,500万台に達するとIEAは予想しています。

 日本でも、2020年12月には政府が2030年代前半までにガソリン車販売の禁止を検討していることが報道されました。正式な発表ではないものの、政府が掲げる脱炭素政策「2050年カーボンニュートラル」に関わる議論のひとつと考えられ、今後『EV』へのシフトは、政策面からもより一層推し進められていく可能性が高いと考えられます。

【ポイント2】テスラは堅調な『EV』販売を達成

 足元では2021年1月2日、米大手『EV』メーカーのテスラが2020年10-12月期の生産、納車台数(速報値)がそれぞれ過去最高水準を記録したと発表しました。生産台数(年間ベース50万9,737台)、納車台数(同49万9,550台)ともに2020年1月時点の目標である50万台とほぼ同水準に到達し、コロナ禍においても『EV』販売が堅調であることが確認されました。

【今後の展開】自動運転車も増加の見込み

『EV』シフトと同様、自動運転技術の向上の報道も相次いでいます。2020年11月、ホンダは自動運転レベル3(特定条件下においてシステムが運転を実施)の認定を国土交通省から受けました。2020年度中には、レベル3自動車が世界で初めて市販化される見込みです。現在、各国でレベル3、レベル4(特定条件下における完全自動運転)の走行実験が盛んに行われており、実用化の流れはさらに加速すると思われます。

 自動運転と『EV』の親和性は高く、自動車の将来像は、接続(C)、自動運転(A)、シェアリング(S)、電気自動車(E)の機能を持ったCASEに行きつくとの見方があります。実際にその方向に向かって技術開発や販売拡大が進んでおり、今後も自動車業界のダイナミックな変化が注目されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。