2021年の経済重要イベントは?
為替相場の経済要因として最も大きな要因は金融政策です。特にFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策です。
また、日本銀行、FRB、ECB(欧州中央銀行)総裁は金融政策委員会終了後、毎回記者会見を行い、市場との対話に努めています。この記者会見も重要です。声明文を補うような一歩踏み込んだ説明をしたり、先行きの方向性を示唆する内容を発言したりします。記者会見の発言で相場が動くことも多いため注視する必要があります。また、FRB議長の議会証言が年2回(2月、7月)にありますが、これも注目材料です
2020年のドル/円相場は、ドル安構図の中、夏場以降じりじりと円高が進みましたが、このドル安の構図は今年も続くことが予想されます。
ドル安の構図の背景は、次の2点が主因ですが、新型コロナウイルスの感染拡大が抑制されない限り、この構図は続くことが予想されます。
(1)拡大する米国の財政赤字と経常赤字(「双子の赤字」)
(2)FRBの超金融緩和政策による低金利長期化とドル供給の拡大
そして、新型コロナウイルス、景気、金融政策についてのマーケットの見方は次の3つに大別されます。
(1)ワクチンが普及し、感染拡大は抑制され経済は回復。金融政策は出口を模索
(2)ワクチンが普及し、感染拡大は抑制され経済は回復するが、回復は鈍く物価も上昇しない
ため金融緩和政策は継続
(3)感染を抑制できるほどのスピードでワクチンは普及せず、経済の回復は2021年7-9月期がピークで、その後は鈍化し、金融緩和政策は継続、または追加緩和の動き
マーケットではコロナ後を見据えた(2)の見方が多く、(1)の出口戦略の模索まではいかないとの期待から、株も先取りした動きとなっています。しかし、今年はまだ(3)が続き、ドル安の構図は継続すると予想すれば、相場の見方がガラッと変わります。
ただ、ドル/円のボラティリティー(変動率)は低いため、大きな変動はなく、ジリジリと円高が進行し、年間の値幅も10円前後で推移し、イメージとしては100円を挟んだ展開を予想します。また、欧米各国の物価も日本に追随し下落することが予想されるため、欧米の物価下落進行によって円高進行は徐々にブレーキがかかることが想定されます。
以上のように、FRBの金融政策は緩和政策継続なのか、出口政策を探る動きに出るのか、それとも追加緩和をするのか、今年も経済イベントとしてはFRBの金融政策の動向が最大注目材料です。そして、FRBの金融政策に影響を与える経済成長率(GDP)、物価上昇率、雇用統計に注目です。
下表に日米欧の金融政策委員会の開催日、GDPや物価の公表日をまとめました。今週の本連載は保存版として活用してください。米雇用統計は、毎月第1金曜日に公表されます。