新たな引き締め措置も悪影響は軽微、同業銘柄を上回る成長達成へ

現地コード 銘柄名
00813

世茂集団控股

(シーマオ・グループ・ホールディングス)

株価 情報種類

27.45HKD
(12/4現在)

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 世茂集団の経営陣はこのほど、21年の不動産セクターに関する予測を明らかにした。それによると、国内のデベロッパー上位10社の成約額は前年比10%程度の伸びとなる見込み。粗利益率は低下し、不動産引き締め措置「3本のレッドライン」(中国語で「三条紅線」:負債比率に関する3つの基準を設定し、これに抵触したデベロッパーを対象に融資制限を実施する)の影響で、新規の土地取得余力も限定的となる可能性が高いという。ただ、BOCIはこうした要素はすでに不動産銘柄の株価にほぼ反映されたとみて、同社が示した慎重見通しに対する市場の過剰反応を指摘している。また、特に同社はディフェンシブ性が高く、同業銘柄の中では、年内に「3本のレッドライン」をすべてクリアする可能性が最も高いとの見方。さらに物件成約額の伸びや利益成長率という点でも、大手・中堅デベロッパーの中で上位となる可能性が高いとし、株価の先行きに対して強気の見通しを継続している。

 BOCIは「3本のレッドライン」のうち、特に前受金除外後の資産負債比率について70%の上限を規定した項目が、最も難易度が高いとの見方。「黄色」(レッドライン3本のうち1つだけに抵触するケース)に属する自社カバー銘柄のうち、最も「緑」(一つも抵触しない)を達成しやすいデベロッパーが世茂集団であるとした。不動産管理子会社の上場に伴い約83億元の現金を得たためで、108億元の短期債償還を通じてクリアできると予想。年内に「緑」を達成し、これが同社株価の支援材料になるとみる。

 また、同社の総負債は19年に前年比15%増加したが、「緑」を維持する上で支障はなく、新規定の下でも成長ペースの維持が可能であることを示唆した。BOCIは同社の信用格付けを考慮した上で、逆に新規定による恩恵を指摘。同業銘柄を上回る成長が期待できるとしている。

 一方、20年1-10月には土地取得に1,000億元を費やしたが、これは同期の物件成約額の4割をやや上回る金額となる。BOCIは21年の成約額について前年比10%超の伸びを予想。大手銘柄の大半を上回るペースを見込む。

 同社株は現在、21年予想PBR(株価純資産倍率)0.9倍の水準で取引されており、BOCIが設定した1株当たり予想NAV(純資産価値)51.21HKドルに対するディスカウント率は52%に上る。また、21年の予想配当利回りは7.7%の高水準。BOCIは「緑」の達成が見込めることや、この先の成長余力、ROE(自己資本利益率)の高さなどから、現在のバリエーションがすでに魅力的な水準にあるとしている。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、「3本のレッドライン」に起因するデベロッパー各社の分譲価格の引き下げで、不動産相場が予想以上に下落する可能性を挙げている。