為替DI:「12月も円高続行!」個人投資家の約半数が予想
楽天証券FXディーリング部 荒地 潤
楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示しています。
「12月のドル/円は円安、円高のどちらへ動くと予想しますか?」
楽天証券が11月末に実施した相場アンケート調査の結果によると、回答を頂いた個人投資家4,231人のうち約48%(2,043人)が、12月のドル/円は「ドル安/円高に動く」と予想しています。
「円安に動く」は最も少ない約21%(896人)で、あとの約31%(1,292人)は「動かない(わからない)」でした。
ドル安と金利高が同時進行しています。米国債券利回りが上昇するなかでのドル安。一見すると矛盾しているようですが、必ずしもそうではありません。米国金利に注目が集まっていますが、他国の実質金利もまた上昇しています。
中央銀行の政策を比較すると、FRB(米連邦準備制度理事会)はハト派的姿勢(追加緩和に前向き)であるのに対して、ECB(欧州中央銀行)はタカ派的姿勢(追加緩和に後ろ向き)。このスタンスの違いが、金利上昇のなかでのドル安をつくっているのです。
さらに重要なのは、FX市場を動かす材料が、最近のワクチン開発成功のニュースをきっかけとして、金利差から「世界的経済成長」へ移っていること。今は米金利高=ドル高という考えは通用しないのです。
米国の一極成長、あるいは世界的低成長の時代においてはドルにマネーが集中する傾向がありますが、世界的同時成長の時代になると、米国以外の地域の投資妙味が米国に比べて相対的に大きくなり、ドルが売られやすくなります。
ワクチンが世界中に行き渡る見通しが出てきたということは、コロナからの経済回復のチャンスに関しては、世界中どこも同じ条件だということです。すでに過去最高値を更新している米国株式に比べて、それ以外の地域は、これまで出遅れていた分だけ投資リターンが高くなると考えることができます。
長期投資家は、ドル資産運用によるアウトパフォーマンスを何年間も積み上げてきましたが、ドル一辺倒のエクスポージャーを減らし分散投資を模索し始めています。ドルを今後も保有したいという強い理由が表れない限り、この傾向は続くことになるでしょう。
経済回復の期待が徐々に強まり、マーケットのテーマとして「リフレ(デフレ以上インフレ未満の状態)」がじわじわと定着する状況になり、株式と世界の金利が連動して上昇。このようなケースではリスクオフの観点からもドル安傾向が強まります。
ドルに対して、ユーロだけではなく、資源国通貨の豪ドルやカナダドルが高くなり、新興国通貨に再びマネーの流入が始まっています。
11月末に楽天証券が実施した相場アンケート調査の結果によると、回答頂いた個人投資家4,231人のうち約36%(1,515人)が、12月のユーロ/円は「ユーロ安/円高に動く」と予想しています。
「ユーロ高/円安に動く」は、最も少ない約16%(672人)。「動かない(わからない)」は、約48%(2,044人)でした。
11月のユーロ/円の終値は124.44円。10月終値に比べて2.54円のユーロ高/円安水準でしたが,12月は「ユーロ高」よりも「ユーロ安」に動くと考える個人投資家が多いようです。
11月末に楽天証券が実施した相場アンケート調査の結果によると、回答頂いた個人投資家4,231人のうち約29%(1,242人)が、12月の豪ドル/円は「豪ドル安/円高に動く」と予想しています。
「豪ドル高/円安に動く」は約17%(704人)で最も少なく、「動かない(わからない)」は約54%(2,285人)で半数を超えています。
11月の豪ドル/円の終値は76.61円。10月の終値に比べて約3.05円の豪ドル高/円安水準でしたが,12月は「豪ドル高」よりも「豪ドル安」に動くと考える個人投資家が多いようです。