日経平均の見通し
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之
「まちまちのDIは、強さの持続性への警戒」
今回調査における日経平均の見通しDIは、1カ月先がプラス18.60、3カ月先はマイナス1.99とまちまちの結果でした。前回調査の結果がそれぞれマイナス13.17、プラス2.21でしたので、ちょうどプラスとマイナスが反対となりました。
1カ月先のDIはプラス方向に大幅改善したわけですが、11月の日経平均は前月末から15%以上上昇し、株価の節目も2万4,000円から2万5,000円、そして2万6,000円台と次々に上抜けてきた動きが素直に反映されたものと思われます。その一方で、急ピッチな上昇による警戒感からか、3カ月先DIは大きな変化はないものの、前回よりは弱含んだ印象です。「さすがに足元の強さが3カ月先も続きそうにない」という警戒があるのかもしれません。
実際に、12月相場入りとなった日経平均は長期的なテクニカル分析の節目としてみられてきた、バブル最高値(3万8,957円)からバブル後最安値(6,994円)までの下げ幅に対する61.8%戻しの水準(2万6,747円)を上抜ける場面を見せましたが、2万7,000円台乗せを前に上値を伸ばしきれず、11月の上昇の勢いはさすがに落ち着き始めているようにも感じられます。
これまでの株価上昇の主な原動力として、(1)米大統領選挙の通過、(2)新型コロナウイルスワクチンへの期待、(3)追加金融緩和への期待、(4)日本株に対する再評価などが挙げられますが、これらを背景に、(5)売り越しが続いていた海外投資家が買い戻しに転じたことが上昇を加速させてきました。
(1)については米新政権の陣容もある程度判明し、すでに不安が後退していますし、(2)については米国で近日中にワクチンの緊急使用が承認されて、英国では接種の実施が始まっています。(3)については米FOMC(連邦公開市場委員会)が15~16日に行われるほか、(5)についても11日のメジャーSQ(先物やオプションの清算値を決める日で、先物やオプションが清算され、損益が確定する日)で需給的な節目を迎えるなど、(4)以外の材料は出尽くし感が出始めるタイミングです。
その後のクリスマス休暇や年末前の薄商いが見込まれるだけに、今後の焦点は株価が下げる局面において、どの株価水準で押し目買いが入るのか、そして年末の「掉尾の一振」へと移っていけるかが焦点になりそうです。