第三者割当増資で300億元調達、将来の成長に備え

現地コード 銘柄名
01658

中国郵政儲蓄銀行

(ポスタル・セービングス・バンク・オブ・チャイナ)

株価 情報種類

4.64HKD
(12/2現在)

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 中国版ゆうちょ銀行である中国郵政儲蓄銀行は11月30日、第三者割当増資を通じて最大300億元を調達する計画を発表した。新株(A株)を引き受けるのは親会社の中国郵政集団。自己資本を増強するとともに、健全かつ安定的な成長を図る狙い。BOCIは今回の増資がこの先の預貸率の引き上げや、ファンダメンタルズの回復に伴う採算性の改善を後押しするとの見方。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 今回の第三者割当では、54億500万株を上限に、親会社にA株の新株を割り当て、最大300億元を調達する。1株当たりの割当価格は19年の配当後PBR(株価純資産倍率)換算で1倍相当。調達資金はすべて、狭義の中核的自己資本(コアTier1)の増強に充当する。20年9月末のコアTier1比率、Tier1比率、自己資本比率はそれぞれ9.51%、11.81%、13.86%だったが、BOCIの推計では、増資後にはこの3指標がそろって0.54ポイントずつ上向く見通しという。

 一方、BOCIは預貸率(預金に対する貸出金の比率を示す数値)について、一段の引き上げ余力を指摘している。20年9月末には資金運用勘定(IEA)内の貸出金の割合が50.8%へ年初から2.1ポイント上向き、預貸率は56.5%へ同3.1ポイント上昇した。ただ、それでもまだ、同行の預貸率は同業銘柄を下回る水準。第三者割当による資本の増強が預貸率の引き上げ余力を高め、その結果、21年には貸出伸び率が加速するとみている。

 同行のH株の現在株価は20年予想PBRで0.55倍、21年予想PBRで0.54倍で、ヒストリカルでも低水準にある。BOCIは預貸率の引き上げ余力の向上を受け、21年、22年の融資伸び率に関する想定値を上方修正。半面、今回の増資によるEPS(1株当たり利益)希薄化を理由に、21年、22年の予想EPSを4.6%、2.4%下方修正した。資産の質や預貸率の改善見通し、リテール銀行業務への積極的なシフトなどを前向きに評価し、本土銀行銘柄の中でも、同行を有力視。目標算出基準を20年予想から21年予想PBRに移行させたのに伴い、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを維持した。新たな目標株価は21年PBRで0.64倍の水準となる。