20年7-9月期は集中調達制度とコロナの打撃で2桁減益、21年以降に成長回復へ

現地コード 銘柄名
01177

中国生物製薬

(シノ・バイオファーマ)

株価 情報種類

7.80HKD
(12/1現在)

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 中国の総合医薬品メーカー、中国生物製薬の20年7-9月期決算は、売上高が前年同期比19%減の54億7,800万元、純利益が同21%減の6億3,700万元にとどまった。ただ、同社は20-21年に50種以上の新製品を投入する予定であり、BOCIは抗がん剤や第1号ジェネリック薬、コンプレックスジェネリック薬(構造などが複雑で製剤がより難しい後発薬)などの製品群の拡充を理由に、21年以降には再び、急成長軌道に乗るとの見方。20-22年にそれぞれ前年比1%、30%、22%の増収を見込み、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 7-9月期の19%の減収は主に、国内の医薬品集中調達制度や新型コロナウイルスの影響によるもので、特に肝炎薬や鎮痛剤の売れ行きが低調だった。半面、抗がん剤、整形外科薬、呼吸器疾患薬の売上高は、前年同期比9%増の17億7,400万元、15%増の5億5,400万元、40%増の3億6,700万元と好調。同期の売り上げ全体の32%、10%、7%を占めた。同社全体の粗利益率は76.6%(前年同期は80.6%、前四半期は76.3%)。販売費および一般管理費の対売上高比率は前年同期比4.4ポイント上昇の53.6%。研究開発費は3億8,600万元で、対売上高比率は7.1%と、前年同期の6.3%を上回った。純利益は21%減で、純利益率は11.6%と、前年同期の11.9%から後退した。

 パイプライン(製品候補群)では、年初から11月半ばまでに同社が獲得した新薬承認件数は26件。21年にはAK105(penpulimab)や、アダリムマブのバイオシミラー(バイオ後続品)、血液凝固たんぱく質FactorⅧ、アルブミン結合パクリタキセル、レンバチニブなどを発売する見通しだ。また、アンロチニブには新たな適応症(小細胞肺がんと軟部組織肉腫)が加わる可能性があり、この先、国家医療保険償還医薬品リスト(NRDL)への採用が期待される。うちAK105に関する進捗状況は以下の通り。◇扁平上皮非小細胞肺がんを適応症とする化学療法併用の臨床試験フェーズ3に向け、被験者登録が完了した、◇鼻咽腔がんを適応症とする3次療法の治験で主要評価項目に合致した、◇鼻咽腔がん向け3次療法に関して米国食品医薬品局(FDA)による迅速承認指定を受けた。AK105はさらに、肝細胞がんおよび非扁平上皮非小細胞肺がん向けの1次療法としてのアンロチニブ併用療法を巡り、フェーズ3の評価が進行中となっている。

 BOCIは予想売上高、利益率の下方修正に伴い、20年、21年、22年の予想EPS(1株当たり利益)を10.9%、4.2%、2.3%減額修正。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき、目標株価を引き下げた。新たな目標株価は21年予想PER(株価収益率)で35倍に当たる水準(20-22年の予想増益率は年率平均28%)。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、政策、競争激化、事業発展に関する不確実性を挙げている。