2月16日
第13次5カ年計画の正式発表が支援材料、東芝撤退の可能性は中国企業にプラスか

中国政府は原子力発電所開発に関する「第13次5カ年計画」(2016-20年)をこのほど正式に発表し、20年末の発電容量目標を88GWに据え置いた。同時に、沿海部での原発開発の安全性を強調。さらに海外での原発ビジネスの開拓を奨励するとの方針を明らかにした。一方、日本の東芝では最近、会長が退任を発表。米原発ビジネスをめぐる巨額(63億米ドル)の減損計上を受け、同社が原発事業から撤退する可能性も浮上している。ただ、上海電気集団(02727)や中国広核電力(01816)をはじめとする原発銘柄の2月15日の急伸について、BOCIは東芝関連のニュースを受けたファンダメンタルズの改善期待というより、むしろショートーカバーに起因するとの見方。短期的に原発銘柄の騰勢が続くかについてはやや疑問視している。

原発政策の正式決定は、関連銘柄に対する投資家信頼感の回復に寄与する可能性が高い。16年には新たな原発プロジェクトの認可はゼロだったが、政府は5カ年計画の中で、20年末の容量目標を88GWに据え置いた。新たに「稼働中58GW、建造中30GW」との内訳を設定した点が小さな変化ではあるものの(従来は稼働中および建造中の合計で88GW)、目標自体は変わらず、BOCIは17年上期に三門原子力発電所が稼働を開始した後、当局による認可が加速すると予想。原発関連銘柄の支援材料になるとみている。

5カ年の原発政策において、政府は沿海部の原発開発に関して安全性を強調したが、その一方、内陸部での開発スケジュールについては詳細を明らかにしなかった。国家国防科技工業局のWan Yiren副局長によると、まずは住民の理解を得た後に、慎重に内陸部のロケーションを選択する方針という。政府はこのほか、5カ年計画において核燃料リサイクル能力の最適化を課題の一つとしたが、これは現在、処理能力の大半が西部に位置するため。原発のある南東部からはかけ離れていることが背景にある。

一方、米原発事業で巨額の損失を出した東芝は同ビジネスから撤退する可能性があり、代わって中国企業にビジネスチャンスが回る可能性も出てきた。東芝はプロジェクトの遅れを受けたコスト増により、15年に買収した米原子力サービス会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)向けに63億米ドルの減損を計上。15年のウェスチングハウス向けの減損23億米ドルに続き、2期連続の巨額損失となった。11年の福島第一原発事故を受けた世界的なビジネス環境の変化で、東芝としては次世代型AP1000技術の履行が困難な状況にある。ただ、AP1000技術はすでに、国家電力投資集団公司(State Power Investment Corporation)に受け継がれ、中国独自の第3世代原子炉が17年中にも稼働を開始する見込み。BOCIは東芝の原発事業撤退の可能性に言及した上で、中国のCAP1400技術(AP1000のアップグレード技術、米国市場以外での販売免許を持つ)の海外開拓機会が広がる可能性を指摘している。