リーマンショックを機に投資スタイルを見直した
──乏しい情報源の中から、どのように中国株銘柄を選んだのですか。
僕は、前々から企業経営やマーケティングに興味があり、その手の本をよく読んでいました。仕事で必要だったわけではなく、個人的な関心で勉強していたんです。そんな中、「企業が生き残る上で最も重要なのは“ビジネスモデル”ではないか」ということを思うようになったんです。ビジネスモデルがしっかりしていれば、簡単には他社の追従を許さないため、将来的にも有望ではないかと。だから、投資を始めたときも、その会社がどんなビジネスモデルなのか、ということを第一に考えました。
それともう一つは「割安」であることも、銘柄選びには重要だと考えました。株式投資について勉強するうちに、割安な株、つまり本来の実力よりも安い値がついている株を購入し、高くなるのを待って売るのが唯一の必勝法ではないかと考えるようになりました。それで、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)の数値が低い企業を狙いました。
──いわゆるバリュー投資ですね。
そうですね。当時はPERが低い銘柄を買っておけば間違いないと思い込んでいました。まあ、その考えは少しずつ変わっていくわけですが。
──どうように変わっていくのかは後ほどお伺いするとして、中国株投資の成績はどうだったのですか。
そのころ、僕はあるコンテナ会社に大きく投資していました。このコンテナ会社は、ビジネスモデルではなく中国の成長に賭けました。中国という成長市場の中でPERが4か5という激安銘柄だったので、絶対に上がるだろうと。ところが、これが待てども待てども上がらないわけです。バリュー投資の場合、ある程度我慢が必要なことは分かっていましたが、それでもさすがにしびれを切らして、結局手放しました。ただ、その一方で、あまり当てにしていなかった、蒙牛乳業という牛乳メーカーの銘柄や、中国人民財産保険という損害保険の銘柄が、短期間でグンと上がったりしたんです。数年で5倍、10倍になったり。だから、トータルではプラスでした。
──最初から順調だったわけですね。
はい、ただ、それも短い間でしたが。
──というと?
株を始めて2年後くらいだったかな、元本が2倍を超えて喜んでいたら、リーマンショックが到来。みるみる資産が減っていき、最終的には元本の6割くらいまで減らしました。
──でも、そのあたりで食い止めた?
そうですね、その後も中国株中心でしたが、わりと早い時期に元本まで復活できました。ただ、その頃から自分のやり方は果たして正しいのだろうかと考えるようになったんです。
それまでは割安株狙いだったわけですが、先ほど話したコンテナ会社とか、これだと狙った会社の株価がいっこうに上がらないわけです。それに対して、あまり期待していなかった銘柄の株価がグングン上がっていった。この違いは何だろうと考えるうちに、大事なのは“企業の成長性”ではないかという結論にたどり着きました。もちろん、割安であることは重要です。しかし、それ以前の問題として、成長企業であることが大事なのではないかと。
──なるほど。
よくよく考えてみると邱永漢さんも「成長株を狙いなさい」とおっしゃっていたんです。ところが、僕はPERやPBRの数値ばかりに目がいき、そのことを真剣に受け止めなかった。中国株投資を始めて数年が経ち、ようやくその真意に気づいたわけです。
──そして、成長株投資へとシフトしていくわけですね。
はい。ただ、成長株投資となると中国株をターゲットにするのは難しいんです。中国語も分からないし、先ほど言ったように情報源も乏しい。成長性を判断する材料となる情報が、自力ではなかなか入手しにくいので。それで、悩んだ末、これはもう日本株をメインにするしかないかなと思い、中国株から日本株へと切り替えていくわけです。
──では、次回は日本株に切り替えた後のお話をお伺いします。
>>前編:割安株投資から成長株投資に転換するまで を読む!
>>後編:すぽさんが個別株投資にこだわるワケ を読む!
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