下げ相場ではバリュー有利が経験則

「絶対にこうなる」という法則ではなく、経験則を言うなら、バブル崩壊的な下げ相場ではバリュー株が相対的に有利であり、産業構造の変化を伴う上げ相場ではグロース株が有利である場合が多い。

 典型的には、1990年代末から2000年初頭にかけて形成されたネット銘柄のバブル期や、GAFAなどの台頭が目立つ2018年以降現在に至る局面ではグロース株が強いし、1990年代半ばの日本の株価低迷期、ネットバブル崩壊後からリーマンショックに至る時期では、バリュー銘柄が概ね優勢だった。

 経験則的には、2020年の年末に継続中であるコロナ・バブル的な相場(※1)が終了した後も、バリュー銘柄が優勢な時期が訪れるのが自然であるように「感じられる」。

※1:コロナ対策としての先進国の金融緩和状態に加えて、これを財政面のコロナ対策が後押しすることによって、広義のマネーが成長しこれが株式市場に向かっていると筆者は考えている。

 もっとも、バブル崩壊局面でのバリュー株優勢は、成長期待が剥落したグロース株ほどバリュー株が大きく下げないという下げ相場の中での相対的な有利であって、年金運用などに関わるプロのファンドマネージャーには嬉しいとしても、個人投資家にとってバリュー投資が成功しているという実感は乏しいかも知れない。

 尚、現在のグロース相場を大きく後押しする要因として、グロース相場を牽引する情報処理産業の構造上、企業が大きくなるほど有利な「収穫逓増」の経済法則が働きやすくなっていることが挙げられる。製造業中心の産業では、企業が巨大になると高い成長率を維持しにくくなる「収穫逓減」が一般的な経済法則だったが、物理的な要因が制約になりにくく、情報を多く集めるほど情報の価値が高くなりやすい情報産業では、成長が更に成長を呼ぶ仕組みが働きやすい。

 もっとも、先ほどの理論株価の考え方を援用すると、収穫逓増が働くことが「意外」であった分GAFA的な銘柄の株価がかつての予想以上に高くなったのであろう。但し、利益成長が十分株価に織り込まれているなら、今後もこうした銘柄への投資が有利だとは言い切れない。大事なのは「意外な変化」なのだ。

 尚、本稿は相場について判断することを主旨としていないが、現在の「コロナ・バブル」的な相場は、主に米国の企業が社債などで資金調達を行って自社株買いを行うことによってより大きく膨らみ、その後の崩壊局面での問題を大きくする可能性があるが、限界にはまだ達していないように思われる。筆者は、「今、バリュー銘柄に切り替えた方がいい」と言いたいわけではない。