★筆者が選ぶ銘柄一覧は3ページに掲載しています。
10倍高を達成した銘柄の特徴とは?
株価がある時点から10倍になるのは容易ではありません。1日や2日で達成することはなく(値幅制限があるため不可能)、それなりに長い期間が必要です。イメージをつけるためにいくつかの「10倍高達成株」を紹介することにしましょう。
・GMOペイメントゲートウェイ(3769・東証1部)の10年月足チャート
EC(電子商取引)業者に決済処理サービスを提供しています。
・コスモス薬品(3349・東証1部)の10年月足チャート
九州地盤、大型多店舗展開のドラッグストアチェーンです。
・ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324・JASDAQ)の10年月足チャート
産業用ロボット、半導体・液晶製造装置向け精密制御用減速機で世界トップ企業です。
・川本産業(3604・東証2部)の10年月足チャート
ガーゼなど医療用衛生材料の最大手企業です。
・エムスリー(2413・東証1部)の10年月足チャート
医療従事者向けサイトでの製薬会社情報提供が主力、オンライン診療にも取り組んでいます。
短期間で「株価10倍」を達成した銘柄は、コロナ感染拡大でマスクや衛生用品の需要が高まり、追い風を受けるとして投機人気が高まった「川本産業(3604・東証2部)」だけです。
ちなみにこの銘柄は時価総額が約130億円と極めて小型の銘柄です。市場流動性に欠けることから、少しの買いによって一気に株価が飛び上がった側面があります。高値を保つことができず短期間で急反落していることからも、いかに投機的であったかがわかります。
コロナが追い風になったという意味では、ドラッグストアの「コスモス薬品(3349・東証1部)」やEC決済の「GMOペイメントゲートウェイ(3769・東証1部)」、オンライン医療に取り組んでいる「エムスリー(2413・東証1部)」も同様ですが、これらの株価はコロナ禍前から継続的に上昇をしていて、その後一段高になっています。時価総額も約7,000億~約5兆5,000億円と大きく、業容の拡大とともに、投資家の評価を受け、株価が上昇してきた様子がわかります。
EC決済は通販市場の拡大とともに、ドラッグストアはこの期間に安売り業態が浸透し、拡大路線をとってきたものですので、決して株価10倍達成に疑問があるわけではありません。「コスモス薬品」については、九州で圧倒的な存在感を示したことも追い風になったと考えられます。
海外売上比率が60%を超える機械メーカー「ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324・JASDAQ)」を除くと、ほかは「内需株」ということもおわかりいただけるでしょう。ここで紹介している銘柄は一例ですが、他の10倍達成株を見ても、やはり内需株が多いことを付け加えておきます。
また、10倍高達成までの過程で、同じ率で株価が上昇していることはなく、ある時期に急上昇を見せ、その水準を維持し、さらなる株高に進んでいることもわかります(投機的な動きをした川本産業は除く)。株価上昇=業容拡大+投資家からの評価という構図がイメージできるのです。