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 菅政権誕生から2カ月がたちました。菅政権の経済政策(『スガノミクス』)は、アベノミクスの継承を表明しており、新型コロナ禍においても財政・金融政策は現行路線を引き継ぐことが見込まれます。ただ、成長戦略については、脱炭素に向けたグリーン社会の実現を掲げたほか、デジタル庁創設や携帯電話料金引き下げ、地方銀行再編など個別分野の構造改革で具体論に踏み込んでいます。

【ポイント1】個別分野の構造改革に踏み込む『スガノミクス』

 アベノミクスの継承を掲げる菅政権は財政・金融政策について現行路線を継続するとみられる一方、個別分野の構造改革で具体論に踏み込んでいることが特徴です。

『スガノミクス』の具体的な重点項目は、コロナ禍での感染拡大防止と経済活動再開の両立やデジタル社会、グリーン社会の実現などに加え、デジタル庁の創設、携帯電話料金の引き下げ、地方銀行の再編、不妊治療の国民健康保険適用などの個別分野に踏み込んでいます。

【ポイント2】脱炭素を成長戦略へ

 

 菅首相は10月26日、所信表明演説を行い、温暖化ガスの排出量について「2050年までに全体としてゼロにする」と明らかにしました。さらに、「規制改革などの政策を総動員しグリーン投資(環境に配慮した経済活動への投資)の普及を進める。長期間にわたる支援策を講じ、経済と環境の好循環をつくる」と述べました。成長戦略の柱の一つに脱炭素に向けた経済と環境の好循環を掲げ、「グリーン社会の実現に最大限注力する」としました。

 また、菅首相は、新型コロナ禍で明らかになった行政のデジタル化の遅れを解消するため「大胆な規制改革を実現する」と強調しました。

【今後の展開】『スガノミクス』の成長戦略に期待

 欧州では、新型コロナの感染拡大で落ち込んだ経済を環境対策で立て直す「グリーンリカバリー」政策が掲げられる中、『スガノミクス』も、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギー拡大につながる技術革新やグリーン投資を予算措置・税制改正で支援し、成長分野への育成を目指します。

 こうしたクリーンエネルギーへの転換やデジタル化を推進する規制改革は、『スガノミクス』の成長戦略の旗印となりそうです。『スガノミクス』の推進により日本企業の長期的な競争力が向上することが期待されます。