米国市場では先行き業績見通しが改善している

 23日に民間調査会社マークイットが発表したPMI(購買担当者指数)の改善も米国株式の好材料となりました。11月の製造業PMI(速報値)は56.7と10月(53.4)から上昇。11月のサービス業PMIも57.7と10月(56.9)から上昇しました。同指数は「50」を上回ると企業の景況感や活動が拡大していることを示します。

 新型コロナウイルスの感染者増加と外出制限の影響で景気がいったん減速する可能性もありますが、ワクチン実用化を巡る明るい報道が相次ぎ、来年の景況感に前向きな見方が広まっています。景気見通しの回復は企業業績の改善見通しにつながっています。

 図表2は、機関投資家がベンチマークにすることが多いS&P500指数(米国大企業500社の時価総額加重平均指数)をベースにした12カ月先予想EPS(1株当たり利益/市場予想平均)の12カ月累計実績EPSに対する伸び率(予想増益率)を示したものです。

 コロナ危機で本年前半は減益を余儀なくされたものの、IT関連株の業績好調がリードして第2Q(4-6月期)を底に持ち直し傾向を強め、直近の12カ月先予想EPSの予想増減益率は「前年同期比24%増益」に改善しています。

<図表2>S&P500指数ベースの業績見通しは増益基調に転換

*予想EPS=Bloomberg集計(市場予想平均)
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2019年11月1日~2020年11月25日)

 米国市場に限らず株式相場は常に「先読みしている」(Forward Looking)と言われます。(1)大統領選挙を通過したことで政治的な「可視性」が改善
(2)近い将来のワクチン接種・普及への期待が広まっている
(3)金融当局(FRB)は金利を低位安定化させるとの見方が強い
(4)中国と米国が主導して世界経済は持ち直す傾向にある
(5)企業業績が「減益」から「増益」に転じる

などを市場は先読みしているようです。