ウォーレン・バフェットによるビッグな投資が近々明らかになる?!

 今回提出されたForm13Fに次のような記述がされていた。

「コンフィデンシャルな情報は公開されたForm13Fレポートから省略され、別途、米証券取引委員会に提出された」

 今回提出されたForm13Fで明らかになっていないコンフィデンシャルな投資を行っていると言うのである。過去にもバークシャーは2011年のIBM(IBM)への投資や2015年のフィリップス66(PSX)などへの投資をコンフィデンシャル扱いにしていたことがあり、今回も公開企業に対する大きな投資を行っているのではないかとの思惑が浮上している。

 実際、バークシャーの2011年第1四半期および第2四半期のForm13Fにおいて同様の記載があり、その年の11月、バークシャーがIBMを買収していたことが明らかになった。3月から9月にかけて、100億ドル以上に及ぶ投資を行っていた。また、2015年第2四半期のForm13Fにもこの文言は登場し、数週間後の修正Form13Fの提出によって、フィリップス66の株式25億ドルを保有していたことを明らかにした。

 ビジネスインサイダーの記事「Warren Buffett is buying a secret stock that could be revealed within weeks(ウォーレン・バフェットが買う秘密の銘柄、それは数週間以内に明らかになるだろう)」によると、バークシャーをカバーするエドワード・ジョーンズのアナリストが「バークシャーは公開企業で大きなポジションを築いており、彼らは公開する前にそれを続けたいと考えているのではないかと見ている」と語ったと言う。

 そのアナリストによると、9月末時点の株式ポートフォリオはクラフトハインツを除いて2,450億ドルだとしているが、バークシャーが提出したForm13Fには2,200億ドル分しか記載されていなかった。その差は250億ドルである。日本の商社への投資は60億ドルに過ぎず、この差額の一部に過ぎない。

 では、このコンフィデンシャルな投資、果たしてバークシャーは何を買っているのだろうか。

 米ニュースサイトのelectrekの記事「Tesla (TSLA) surges to near-record high on mysterious new investor buying big(テスラ は謎の新規投資家の大量買いで史上最高値近くまで急騰)」によると、S&P500への追加や証券会社による目標株価の引き上げなどによってテスラの株価が500ドルを超え、高値圏での推移が続いている。

 しかし、S&P500への新規追加や目標株価の引き上げだけでは、これほどの大幅なバリュエーションの上昇を正当化するのは難しい。興味深い説として、一部の大口投資家がテスラに多額の投資を行っており、特に注目すべき説として、ウォーレン・バフェットが多額の投資を行っているかもしれないというのである。

テスラ(日足)株式時価総額が初めて5,000億ドル突破!年初来で547%上昇

出所:石原順

 記事によると、約5,000万株のテスラ株が現在不明の投資家の手に消えていると言う。この行方不明のテスラ株と言う点と、バークシャー・ハサウェイのコンフィデンシャルな投資と言う点の2つをつなぎ、バフェットがテスラの株式を取得したのではないかとの憶測が浮上したのである。もしそれが本当ならば驚きだ。

 バフェットとイーロン・マスクは以前、対立する発言をしていたことが伝えられている。例えば、マスクは、バフェットが長年アピールしてきた重要な投資セオリーの1つ、ある業界への破壊的な新規参入を防ぐためのバリアになるものを戦略的な「堀」とする考え方について、「時代遅れ」と批判。一方、バフェットはテスラについて「良い投資先とは言えない」と語っていた。

 バフェットはファンダメンタルズに投資するが、それをベースにした場合、テスラに投資をすることは考えられない。また、近年ではアップルやアマゾンと言ったハイテク銘柄にも投資を始めている。バフェットはキャリアの終盤に差し掛かり、バークシャーの手綱をゆっくりと手放しつつある。自社株買いによって忠誠心のない投資家を整理しようとしているとの思惑も含め、投資セオリーなど、企業としてのバークシャーは次世代へ向けて変わり始めているのかもしれない。

 バフェットの有名な言葉の一つ

“Price is what you pay, value is what you get”
「価格とは何かを買うときに支払うもの、価値とは何か買うときに得るもの」

 バークシャーがテスラを価値ある企業として認識したのか、それとも他の企業への大口の投資なのか、続報が待たれる。