1:分配金の支払いは、利益が発生している場合のみ認められる?
解答:×
分配金は、運用を通じて得られた利益から支払われるのが基本ですが、分配自体は、利益が発生していない状態でも行うことが認められています。つまり、元本を払い戻す形で分配が行われることがあるのです。これはなぜか。
利益が生じていなくても分配を行うことができるのは、投資信託が担保する「投資家間の公平性」にヒントが隠されています。
投資信託は、原則として「いつでも」「誰でも」購入可能な金融商品です。10年前から保有している投資家でも、決算日のわずか数日前に購入した投資家でも、受け取れる分配金の額は一律です。このように、金額も、投資開始時期も異なる複数の投資家の資金をまとめて運用するとなると、収益の分配についてはどうしても不公平が生じてしまいます。
そこで、投資家が投じた資金から分配金を支払い、投資家間で生じる不公平を解消しているのです。
この元本の払い戻しに該当する部分は「元本払戻金」または「特別分配金」と呼ばれ、通常20.315%(所得税15.315%、住民税5%)かかる税金は非課税になります。決算日の直前に資金を投じた投資家は、短期間でよほど基準価額の大きな上昇がない限り、受け取った分配金の大部分、または全部が元本払戻金となっている可能性が高いと言えます。運用成績が振るわず、十分に分配原資を蓄えられていないようなケースもまた、元本が払い戻される可能性が高いでしょう。分配金が支払われることが必ずしも投資家にとって有利かというと、決してそういうわけではないのです。