親会社からTOBがかかってもおかしくないと筆者が判断する5社


 銘柄名を挙げる前に、注意事項があります。

 これから挙げる5銘柄は、いずれも「筆者が親会社の経営者だったら、出資比率を大幅に高めるあるいは完全子会社化を目指す」と判断する上場子会社・関連会社です。完全子会社にできれば連結経営に有利と、私が判断しているものです。

 ただし、親会社の経営陣が同じ考えを持っているとは限りません。また仮に親会社経営陣がそう考えていたとしても、子会社の経営陣や大株主が、それを受け容れるとは限りません。いろいろな障害があって、完全子会社化は実現できないかもしれません。

 私の考えとは全く逆に、親会社が子会社の株の売却を目指すこともあり得ます。つまり、これから述べるのは、あくまでも筆者個人の考えで、親会社経営者の考えではありません。そのことを理解して、私の考えを聞いてください。

 以下5銘柄について、簡単に、コメントします。

親会社が完全子会社化を目指してもおかしくないと筆者が判断する5社


【1】三菱UFJリース(8593)
【2】アコム(8572)

 三菱UFJリースは、三菱UFJ FG(8306)にとって重要なグループ会社です。三菱商事などと共同運営しています。三菱UFJ FGは、金利低下によって、商業銀行業務の収益性が低下する中、海外ビジネスの拡大や、ユニバーサルバンク経営(投資銀行業務・信託・証券・リース・消費者金融・カードなどへの多角化)によって、収益拡大を目指しています。

 三菱UFJリースは、三菱UFJ FGにとって重要なグループ会社です。三菱商事などと共同運営していまは、三菱UFJ FGにとって戦略的に重要なグループ会社と考えられます。大手銀行のリース子会社は、かつて、ファイナンスリース中心の展開で、銀行の迂回融資くらいの位置づけしかありませんでした。

 ところが、近年は、モノの知識が重要なオペレーティングリースを拡大しており、低金利時代の多角化として、重要性が増しています。三菱UFJリースは、三菱UFJ FGにとって重要なグループ会社です。三菱商事などと共同運営していまは国際展開をしており、海外収益の拡大にも寄与しています。戦略的に重要なので、商社との共同運営を続けつつ、さらに出資比率を高めた方が良いと私は考えます。

 アコムは、消費者金融の子会社です。消費者金融は、銀行がこれまで手掛けてこなかった、低信用の無担保ローンで収益を稼ぐビジネスで、大企業与信で稼げなくなった時代に重要なビジネスの一角と考えられます。既に、三井住友FG(8316)は、2011年に、当時上場子会社だったプロミスに対してTOBを実施し、完全子会社にしています。三菱UFJも、アコムを完全子会社にする選択肢もあると、考えています。

【3】    イオンフィナンシャルサービス(8570)
【4】    イオンモール(8905)
 ともに、イオン(8267)の上場子会社です。イオンは、この他にもたくさんの子会社を上場させていますが、イオンのビジネスモデルにとって、この2社は特に重要なので、完全子会社にした方が良いと考えます。
 ただし、小売業が親会社として、金融・不動産子会社の上に立つのは、必ずしも望ましくないと思います。セブン&アイHD(3382)のように、持ち株会社(仮にイオンHDとします)を作り、その下に、イオンリテール、イオンフィナンシャルサービス、イオンモ-ルなどの子会社を兄弟会社として並べるほうが、連結経営が効率的に行えると考えます。
 連結収益の重要な一部を占めるという意味では、ウエルシアHD(3141)も完全子会社にした方が良いと思いますが、それ以上にコア事業のビジネスにとって重要な上記2社の取り込みが先だと思います。
 イオングループについては、後日、別途詳しくレポートを書いて、私の考えを説明します。

【5】    ダイビル(8806)
 商船三井(9104)が子会社化したのが、ダイビルです。商船三井の本業である海運業が変動性の激しいビジネスなので、連結経営を安定させるために、ダイビルに投資し、不動産事業を拡大したと考えられます。
 商船三井にとって、さらなる経営安定化のためにダイビルも完全子会社にした方が良いと筆者は思います。ダイビルが保有する賃貸ビルの含み益対比で、ダイビルの株価が割安になっていると考えますので、このままにしておくのも、あまり良いと思えません。