1 アサヒHD(5857・東証1部)

▼どんな銘柄?

 貴金属事業が主力となります。歯科分野を中心とした貴金属含有スクラップからの貴金属リサイクル、金および銀を米国やカナダで精錬する北米精錬などを手掛けています。

 また、各種廃棄物の収集運搬・処理・リサイクルなどを手掛ける環境保全事業、マッサージチェアや空調システムを扱うライフ&ヘルス事業も行っています。

 金市況が上昇した際には関心が高まる銘柄となります。また、配当性向は50%以上をメドとしています。

▼業績見通し

 2021年3月期上半期営業利益は118億円で前年同期比70.5%増と大幅増益になっています。新型コロナの影響が想定よりも軽微であったため、従来計画を10億円上回る着地でした。

 国内・アジアの貴⾦属リサイクル事業分野、北⽶の精錬事業分野ともに好調で、貴金属事業が業績のけん引役となっています。

 2021年3月期通期では、210億円で前期比16.6%増益を予想しており、4期連続での最高益更新となる見込みです。年間配当金は前期比30円増配となる160円を計画しています。

▼ここがポイント

 2020年3月期営業利益は約5割の大幅増益となりましたが、今期はそれに続いての2ケタ増益見通しと、業績は急拡大ステージにあります。配当性向が高い分、業績拡大による増配妙味も大きいといえます。

 金、パラジウム、銀などの市況は前年同期と比べて高水準にあり、下半期の業績下振れリスクも乏しいといえるでしょう。

 株価は7月以降高値圏でのボックスの動きが続いていますが、全体相場の上放れにつれて、目先は追随の動きになりそうです。

2 中電工(1941・東証1部)

▼どんな銘柄?

 中国電力系の電気工事会社です。中国電力を主要顧客とする配電線工事、送変電工事の他、ゼネコンや製造業、ホテルなど向け屋内電気工事、空調管工事、情報通信工事を手掛けています。

 地域別では中国地域が9割弱を占め、残りは都市圏で、東南アジアに子会社を設置するなど海外にも事業拡大を図っています。電力系設備工事会社の中では相対的に自己資本比率が高い状況にあります。

▼業績見通し

 2021年3月期上半期営業利益は32.7億円で前年同期比24.8%増益となりました。昭和コーポレーションの新規連結化効果で売上高が増加した他、原価管理の徹底や効率化施策などによる生産性向上で収益率も高まったもようです。

 2021年3月期通期では、営業利益は88億円で前期比5.6%増益の見通しです。投資有価証券売却益の計上で、最終利益は同54.3%増と大幅増益になる予想です。

 上半期受注高は情報通信工事の寄与が大きく前年同期比4.6%増になっており、下半期の業績には安心感があると言えるでしょう。

▼ここがポイント

 配当政策はDOE(株主資本配当率)2.7%をメドとしており、結果、配当性向や配当利回りは業界内でも高い水準となっています。

 高い自己資本比率を背景に、積極的な自社株買い実施なども今後期待できるでしょう。とりわけ、総資産に占める投資有価証券は43%を占めており、保有有価証券の売却益を原資とした自社株買いの余地などは大きいとみられます。

3 KDDI(9433・東証1部)

▼どんな銘柄?

 通信大手の一角で「au」ブランドが主力です。2020年3月の携帯電話契約者数シェアは31.7%で業界第2位となっています。子会社のJ:COMはケーブルテレビの市場シェアトップです。

 2020年3月期まで19期連続での増益、18年連続での増配を続けており、2021年3月期も増益・増配見通しになっています。金融事業の拡大などにも注力する方向です。

▼業績見通し

 2021年3月期上半期営業利益は5,888億円で前年同期比6.4%増益となっています。モバイル通信サービス収入が減少して売上高は微減となったものの、ライフデザイン領域やビジネスセグメントなど成長領域の順調な拡大が増益をけん引する格好となりました。

 2021年3月期通期では、営業利益は1兆300億円で前期比0.5%増益を計画しています。なお、今後発売するスマホは全て5G対応機種としています。

▼ここがポイント

 発行済み株式数の3.65%に当たる8,400万株、2,000億円を上限とする自社株買いの実施を発表しています。取得期間は11月2日から2021年5月31日までです。

 政府の携帯料金値下げ要請による影響は当面警戒されますが、それをカバーするには十分な規模感といえます。

 また、トヨタ自動車との新たな資本業務提携も発表しました。もともと資本提携関係にはありますが、関係性の希薄化も警戒されていた中、今後のコネクテッドカー普及による役割の高まりなども期待されることになります。