20年7-9月期決算は低調、入札遅延が痛手に

現地コード 銘柄名
01766

中国中車股フン有限公司

(チャイナ・シーアールアールシー)

株価 情報種類

3.00HKD
(11/2現在)

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 世界最大の鉄道車両メーカー、中国中車の20年7-9月期決算は、売上高が前年同期比3.4%減、純利益が14.6%減と、4-6月期の同0.8%減、1.9%減から悪化。新型コロナ後の収益回復ペースが再び鈍ったことが明らかになった。BOCIはその理由として、鉄道の建設・運営を担う“中国版国鉄”こと中国鉄路総公司(CRC)による入札日程が遅延し、空白期が生じた点を指摘している。半面、研究開発費の増大を受け、7-9月の販売費および一般管理費(SG&A)は7.7%増。為替差損が膨らんだことで、財務費用も128.5%増え、同期利益を圧迫した。7-9月期決算はさえない内容だったが、同社経営陣によると、20年12月本決算では、売上高、純利益ともに前年並みを維持する見込み。BOCIは現行の収益見通しを据え置きながらも、目標株価の算出ベースとするPER(株価収益率)を下方修正し、目標株価を引き下げた。それでも新たな目標水準までの上値余地を指摘。株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 同社の業績は4-6月期に回復した後、再び鈍化した。売上高の前年同期比3.4%の落ち込みは主に、鉄道設備の引き渡しが進まなかったため。鉄道設備部門の売上高は53.3%減少し、売り上げ全体に占める割合は前年同期の59.3%から28.7%に急降下した。また、客車、動力分散方式車両(EMU:高速鉄道用車両)は新型コロナの影響で減収幅が特に大きく、それぞれ88.2%減、72.4%減。ほかに機関車、貨物車両の売上高も26.3%減、7.8%減だった。一方、都市鉄道部門は92.7%の大幅増収を記録し、売り上げ構成比は32.5%に上昇。新事業も67.7%の増収と好調だった。

 7-9月の粗利益率はほぼ前年同期並み。ただ、売上高が減少する中で、SG&Aが7.7%増加。財務費用の急増も響いた。実効税率は0.8ポイント上昇して15.2%。経営陣によれば、7-9月には新型コロナの影響で、上期に比べてメンテナンス収入の減少率が拡大したが、こうした傾向は10-12月も続く可能性が高いという。

 一方、1-9月の受注残高は2,660億元で、内訳はEMUが260億元、機関車が180億元、客車が80億元、貨物車が100億元。都市鉄道車両が1,720億元、新事業およびその他事業が330億元。同社は年内に、貨物車両を約5万台、都市鉄道車両を8,000台超、EMUを少なくとも210-220組ほど納品する予定を明らかにしている。

 BOCIは利益見通しを据え置きながらも、目標算出ベースを20年予想PER16.6倍から12倍に下方修正した。12倍はヒストリカル平均を20%下回るが、国内の固定資産投資やファンダメンタルズの堅調にもかかわらず、株式市場が暫定的にインフラを含む従来型銘柄を過小評価している現状を指摘し、20%のディスカウントは適正との見方。株価の先行きに対しては強気見通しを継続した。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、入札日程や製品引き渡しの一段の遅れを挙げている。