20年7-9月はEBITDAで4%減益、業務用需要の復調で中国事業が回復けん引

現地コード 銘柄名
01876

百威亜太控股

(バドワイザーAPAC)

株価 情報種類

23.80HKD
(10/30現在)

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 アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの20年7-9月期決算は、売上高が前年同期比0.1%増の18億2,300万米ドルと、BOCIの事前予想と一致した。期中のビール販売量も小幅増の2,750万hl。EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は4.1%減の6億700万米ドルと、予想を1%上回る水準だった。エリア別にみると、「APAC(アジア太平洋)西部」に属する中国事業の回復が顕著で、4.8%の増収を達成。販売量は自律成長ベースで3.1%増加し、平均販売価格(ASP)も1.6%上向いた。“巣ごもり”を受けた家飲み需要の拡大と業務用需要の回復を受け、中でもプレミアムビールが1桁台後半のプラス成長を達成している。一方、韓国を主力とする「APAC東部」の業績も予想を上回り、7-9月の販売量は自律ベースでほぼ前年同期並み。ASPは3.3%上昇した。BOCIは20-21年の売り上げ見通しを据え置く半面、予想EBITDAを2%増額修正。これに伴い、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を小幅に引き上げた。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 主に中国とインドで構成される「APAC西部」を見ると、7-9月の売上高は自律ベースで前年同期比1.9%増。販売量は1.1%増、ASPは0.8%高だった。うち中国事業は前年同期実績が低かったこともあり、売上高が4.8%増で、販売量が3.1%増、ASPが1.6%高と、部門全体をけん引した。家飲み需要の拡大とともに外食店などの業務用需要も持ち直したためで、同社によれば、中国におけるナイトライフ販路の営業再開率は9月末時点で9割超。その他の販路もほぼ正常化した。調査会社ニールセンによると、家飲み用に販売量を伸ばした同社は、7-9月の市場シェア(販売量ベース)の伸びで業界最大。ネット通販では引き続きビールカテゴリーをリードし、直接の競合との差を約2倍に広げた。販売量は2桁増。在庫も適正水準を維持したという。

「APAC東部」の7-9月の売上高は3.3%増、販売量は横ばいで、ASPの3.3%高がそのまま増収に寄与した(1-9月では売上高が前年同期比9.4%減。販売量が10.2%減、ASPが0.9%高)。主力の韓国では8月半ばの感染再拡大という逆風の中、税制改革や販路構成の優良化で増収を確保したが、市場シェアは前年同期、前期との比較でいずれも後退。ただ、韓国では10月半ばから、ナイトライフやカラオケなどの娯楽施設、ビュッフェ式レストランなどが営業を再開しており、BOCIは10-12月の業績回復傾向の持続を見込む。半面、新型コロナの影響は当面、完全には排除できないとしている。

 BOCIはAPAC西部、東部について、それぞれ21年予想EV/EBITDA倍率23.0倍、13.0倍をあてはめ、目標株価を小幅に引き上げた。今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、◇新型コロナ再拡大の影響、◇プレミアムビール市場の競争激化、◇コストインフレと価格転嫁の困難を挙げている。