20年7-9月期は61%増益、入札・引き渡しの再開で業績回復が鮮明

現地コード 銘柄名
03969

中国鉄路通信信号

(チャイナ・レールウェイ・シグナル・アンド・コミュニケーション)

株価 情報種類

2.52HKD
(10/30現在)

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 鉄道運行システムのプロバイダー、中国鉄路通信信号の20年7-9月期決算は、売上高が前年同期比22.3%増、純利益が61.1%増と、BOCIの予想から上振れた。1-9月期の減収率、減益率も、これで同14.9%、5.7%に改善した。予想を上回る7-9月の増益を支えたのは、粗利益率の改善と販売費及び一般管理費(SG&A)の低減。新型コロナの影響で、もともと上期に予定していた入札や引き渡しの多くが下期にずれ込んだことも、収益押し上げ効果を生んだ。BOCIは7-9月期決算を踏まえ、10-12月期の利益見通しを増額修正しながらも、セクター全体に対する評価を引き下げ、建設請負部門、設備部門の目標PER(株価収益率)をそれぞれ9.1倍(修正前10.0倍)、12.0倍(同16.6倍)に下方修正。SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づき、同社の目標株価を引き下げた。それでも目標水準までの上値余地は依然大きいとし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 7-9月期決算は上期との比較で、回復傾向が鮮明。予想上振れの要因は主に、粗利益率の改善とSG&Aの低減であり、うち粗利益率は前年同期を0.9ポイント上回る23.7%。SG&Aは3.7%減と、売上高が22.3%増加する中で縮小した。コスト管理の強化が奏功したためで、SG&Aの対売上高比率は11.5%へ、3.1ポイント低下した。

 事業部門別の7-9月期の売上高を見ると、主力の鉄道部門が前年同期比44.9%増と、最も好調で、売上構成比は52.1%に達した。ほかに都市輸送部門が24.9%増収で、売上構成比は20.9%。建設請負部門、その他部門は各7.6%。2.8%の減収だった。また、海外売上高は1.2%減。小幅の落ち込みに踏みとどまった理由として、BOCIは前年同期実績の低さを挙げている。

 新規受注は1-9月に前年同期比6.2%減の445億6,100万元。都市輸送部門で2.3%増加したものの(受注全体に占める割合は18.4%)、その他部門はいずれも前年同期実績に届かなかった。鉄道部門の新規受注は10.7%減で、全体の42.5%。建設請負は4.3%減で、全体の37.3%。海外受注はパンデミックの影響で、13.0%の落ち込みとなった。

 7-9月期決算の予想上振れを受け、BOCIは10-12月期の利益見通しを増額修正。続く21-22年に関しては現行予想を据え置いた。一方、セクター全体に対する評価の後退を反映させる形で、目標株価の算出基準とする建設請負部門、設備部門の予想PERを下方修正。これに伴い、目標株価を引き下げた。ただ、株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。一方、レーティング見直しにつながる可能性があるリスク要因としては、都市鉄道分野の信号システムをめぐる業者間競争がこの先、激化する可能性を挙げている。