12月の株主優待銘柄

 多難な年となった2020年最後の12月優待株は、権利付き最終日が12月28日(月)、権利落ち日が29日(火)、そして1年の取引が終わる大納会の12月30日(水)が実質的な権利確定日になります※。12月28日(月)までに優待株を保有して、29日(火)まで持ち越すと優待権利を獲得できます。

 大みそかの12月31日(木)から株式市場が休みに入り、2021年の大発会は1月4日(月)となるため、年末年始の相場急変動に注意が必要です。
※実際は12月31日現在の株主に優待権利が贈呈されますが、12月31日は休場のため。

 そんな12月は3月、9月に次いで優待株の多い繁忙期で、権利が確定する銘柄は178銘柄(※)に達します。配当利回りの高さもあって人気の高い株や定番の外食系、飲料系優待が上位を占めていますが、6位以下では昨年より順位が上昇した銘柄もありました。
※楽天証券 株主優待検索より

 人気第1位は配当利回りの高さが人気の原動力となっているJTです。

 同社の優待は昨年末から、12月末の年1回、1年以上の継続保有が条件になり、その分、優待内容が拡充されました。100株保有の場合、2,500円相当の自社グループ商品の贈呈となり、ご飯セットか、ご飯・カップ麺セットから選べます。

 コロナ禍による減配や無配転落が多い中、同社は今期も前期と同じ年間154円の株主配当を維持する予定で、配当利回りは7%台と突出して高くなっています。長期下落傾向にあった株価も下げ止まりの気配があり、高配当かつ、かなり豪華な優待ももらえる点が人気の理由でしょう。

 第2位は、コロナ禍による業績不振で優待カードの減額を決めたすかいらーくHDです。

 継続保有などへの条件変更はなく、12月末、6月末の年2回、同社のファミレス「ガスト」「バーミヤン」「夢庵」などで使える優待カードが贈呈される点にも変更はありません。

 しかし、優待カードの金額が、100株保有で各3,000円(年間6,000円)分から各2,000円(年間4,000円)分に引き下げられました。15万円相当の投資金額で、かなり高額な優待カードがもらえる魅力が少し薄れてしまったのは残念です。

 ただ、コロナ禍の大打撃を受けているファミレス業界の現状を考えるとある意味、しょうがないのかもしれません。来期以降の業績、そして優待内容の復活に期待したいところです。

 第3位は、こちらも定番中の定番優待といえる日本マクドナルドHD。100株保有で、12月末と6月末の年2回、バーガー類、サイドメニュー、ドリンクの商品引換券が6枚つづりになった優待食事券1冊がもらえます。

 同社は同じ外食産業の中でも持ち帰りや宅配の需要が活況で、今期の中間決算でも、売上高は前期比2.0%増、営業利益も0.7%増を維持し、株価も上場来高値を更新しています。古くから同社の株を保有していた人たちは、半年に一度の優待食事券に加えて、配当金、さらに株価の大きな値上がり益という3つの喜びを味わえた1年になりました。

 コロナ禍で多くの優待企業が業績悪化に苦しむ中、投資家にとって「2020年最高の優待株」になった、といっても言い過ぎではないでしょう。

 第4位は自動車メーカーのホンダです。

 同社の優待は、100株以上の保有で、3月末・鈴鹿サーキットかツインリンクもてぎの優待券、6月末・事業所見学などの視察会とカレンダー、12月末には「Enjoy Honda」への招待と、盛りだくさんな内容になっています。

 2020年はコロナ禍のため、視察会や「Enjoy Honda」が中止になってしまいましたが、来年2021年はぜひコロナ禍を脱し、これらのイベント優待が行われることに期待したいものです。