石油生産量が7-9月に堅調、利益見通し下方修正も強気見通し継続

現地コード 銘柄名
00883

中国海洋石油

(シノック(CNOOC))

株価 情報種類

7.15HKD
(10/23現在)

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 中国の石油メジャーの1社、CNOOCの石油・ガス生産量は、20年7-9月に前年同期比5%増の1億3,120万BOE(石油換算バレル)に達した。中国オフショアでの10%の伸びが背景。BOCIは7-9月の好調を受け、20年12月通期の生産見通しを0.9%上方修正し、5億1,440万BOEとした。この数字は経営陣が示したガイダンスの上限(5億1,500万BOE)にほぼ並ぶ水準となる。BOCIは最近の人民元為替相場の変動を反映させる形で、20-22年の利益見通しを2-7%減額修正しながらも、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 7-9月には新規プロジェクトの貢献で、中国オフショアでの石油・ガス生産量が前年同期比10.4%増の8,860万BOEに達し、海外での4.6%の落ち込みを十二分にカバーした。海外での生産量の縮小は、主にナイジェリアとカナダでの減産によるもの。ナイジェリアには石油輸出国機構(OPEC)の減産方針を守る義務があり、カナダではオイルサンドプロジェクトの高コストが減産要因となった。

 1-9月の累計では、同社全体の石油・ガス生産量は前年同期比5.8%増の3億8,910万BOE。経営陣が示した通期見通し(5億500万-5億1,500万BOE)の75.6-77.0%を消化した。続く10-12月は台風による油ガス田操業への影響が限られることから、BOCIは通期見通しの達成は可能とみている。

 一方、同社は7-9月に、新たに油田2カ所を発見。中国オフショアでの坑井14カ所の評価にも成功した。ほかにPSC(生産物分与契約)のパートナーがガイアナ沖Stabroek鉱区で油田2カ所を発見しており、同鉱区における発見実績はこれで18となった。

 同社の株価パフォーマンスはこのところ低調だが、これは主に、投資家が欧州でのパンデミック再拡大による世界原油需要への悪影響を警戒しているため。ただ、BOCIは少なくとも新型コロナワクチン候補9種が治験のフェーズ3段階に入ったことや、OPEC+(OPEC加盟国および非加盟の主要産油国)による生産調整を理由に、原油の一段安の余地は限られるとの見方だ。また、同社の現在株価の低バリュエーションを指摘。ブレント原油相場が将来的にも1バレル=38米ドル程度にとどまるという、過度の悲観見通しを反映させた水準にあるとしている。

 BOCIは人民元相場の変動を織り込み、元建ての利益見通しを下方修正したにもかかわらず、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく1株当たり予想NAV(純資産価値)を9.92HKドルから9.94HKドルへやや上方修正した。これに伴い、目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。