3.DRAM、NANDの大口価格は10月に入り再度下落
DRAM、NANDの大口価格は、9月に続き10月も小幅下落しています。DRAMスポット価格は、春から夏にかけて下落した後横ばいが続いています。前述のように、9月前半までのファーウェイの大量調達の反動が出ていると思われます。
ただし、これも前述のように、パソコン、サーバー、5Gスマホ、新型ゲーム機向け高性能CPU、GPUは生産、出荷が増加すると思われます。従来よりも高性能のCPU、GPUがパソコン、サーバー、ゲーム機に搭載されるときには、従来よりも高速で容量の大きいDRAMやNAND(SSD)が搭載される傾向があります。そのため、このまま高性能CPU、GPUの伸びが続けば、来年になればDRAM、NANDの需給は改善に向かい、大口価格も底打ちする可能性があると予想されます。
グラフ4 NAND型フラッシュメモリの市況(2017年5月29日から)
グラフ5 DRAMの市況
グラフ6 DRAMのスポット市況
4.半導体設備投資の動き
2020年9月の日本製半導体製造装置販売高は、1,937億800万円(前年比8.7%増、前月比2.8%増)となりました。2019年9月の販売水準が高かったため、前年比は8月までの二ケタ増に比べ鈍化しましたが、前月比はプラスなので、引き続き順調に伸びています。
北米製も伸びており、2020年9月販売高は前年同月の水準が低かったこともあり、前年比40.3%増となりました。
TSMCは、2020年7-9月期決算説明会において、前回説明会では年間160~170億米ドルとしていた2020年12月期設備投資計画を170億米ドルとしました(2019年12月期は149億米ドル)。2021年は3ナノの試験設備(準量産規模)への投資、5ナノの増強投資に加えて人気のある7ナノラインの増強の可能性があることを考慮すると、TSMCの2021年12月期設備投資は2020年12月期を上回ると思われます(楽天証券では190億米ドルと予想)。
設備投資額が大きいサムスンは、メモリ事業に続いてTSMCのようなファウンドリ事業に注力しているため、2020年12月期、2021年12月期と設備投資は増加すると予想されます。
一方、インテルは10月22日の決算発表において、年初に170億ドルとしていた2020年12月期設備投資計画を、142~145億ドルに下方修正しました。2020年12月期3Qにデータセンター用サーバー向けCPUが減収になり、全体でも減収減益になったことが関係しています。インテルは新型コロナウイルス感染症による不況の影響を指摘しています。もちろん、新型コロナの影響はあると思われますが、AMDやエヌビディアとの競合の影響もある可能性があります。また、TSMCが構築した7ナノ、5ナノライン(インテルの7ナノラインは一部が5ナノ相当とされる)の構築にも手こずっています。
従って、インテルの設備投資下方修正をもって直ちに半導体設備投資全体が下方修正になるとは言えないと思われます。ただし、事態の推移に注意する必要はあります。
表4 日本製、北米製半導体製造装置の販売高(3カ月移動平均)
表5 大手半導体メーカーの設備投資
6.国内外の半導体関連企業の決算に注目したい。
10月22日に公表されたディスコの決算から日本の半導体関連企業の2020年4-6月期決算発表が始まりました。外国企業も含めて決算に注目したいと思います。
決算発表スケジュール
海外企業
ASML 10月14日(水)
TSMC 10月15日(木)
テラダイン 10月20日(火)
ラムリサーチ(2021年6月期1Q) 10月21日(水)
インテル 10月22日(木)
アドバンスト・マイクロ・デバイシス(AMD) 10月27日(火)
KLA(2021年6月期1Q) 10月28日(水)
サムスン 10月29日(木)
アプライド・マテリアルズ(2020年10月期) 11月12日(木)
エヌビディア(2021年1月期3Q) 11月18日(水)
日本企業
ディスコ 10月22日(木)
信越化学工業 10月27日(火)
SCREENホールディングス 10月28日(水)
ソニー 10月28日(水)
東京エレクトロン 10月29日(木)
アドバンテスト 10月29日(木)
レーザーテック(2021年6月期1Q) 10月30日(金)
SUMCO(2020年12月期3Q) 11月5日(木)