信用貸株の株式を売ったら、信用余力は大丈夫?

タケル 分かりました。信用取引は本当に特殊な用語が飛び交いますね。それと信用貸株をやめるのは自由なタイミングでできることは分かりましたが、代用有価証券にしている現物株を売ると、信用余力が低くなるんじゃないですか?

ドーシタ師範 信用余力は原則、低くならないし、むしろ高くなる。

タケル あれ? 混乱してきた。

ドーシタ師範 なぜ信用余力が高くなるか? 代用有価証券は、もともと株価の80%分だけ評価しているからだ。それが、現物株を売却したら現金になる。その金額はそのまま100%評価され、そのお金は信用口座に入ったままだ。ざっくり言えば20%分、信用余力が高くなるということだ。では虎の巻7を授けよう。

虎の巻7信用貸株を活用すれば、一石二鳥
信用取引で担保にしている代用有価証券を信用貸株すれば、レバレッジの取引をしつつ、貸株金利も受けることができる

タケル さっそく現物株を代用有価証券にして、信用貸株をしてみます。

ドーシタ師範 さらに信用貸株は、もう一つ大きなメリットがある。株主優待や配当金の権利確定日に、貸し出している株式が自動的に返却されて、株主優待や配当金を受け取れるのだ。信用貸株ではない通常の貸株の場合、株主の権利は、貸し出した先の金融機関に移転する。そのため、貸株したまま権利確定日を迎えると、株主優待や配当金などは受けられないのだ。

タケル 配当も株主優待ももらえる、いいとこ取りですね!

ドーシタ師範 ただし、銘柄によっては、株主優待の条件に長期保有することが定められている場合もある。信用貸株によって、得られなくなる可能性もあるから、個別に確認すべし!

――【8の巻】へ続く(2020年10月末日公開予定)

信用取引はじめて道場

 この連載では、信用取引をスタートするために必要な準備と、株式の売買一巡するために求められる知識とテクニックを身につけてもらうことを目的にしています。

「信用取引は難しくて、よく分からない」という人にもできるだけやさしく、信用取引のメリットとデメリット、そして手数料などのコスト、さらには特有の言葉遣いの解説をします。現物取引はしているけれど、信用取引はやったことがない人が自分で銘柄を選び、取引一巡するまでをナビゲートします。

 そして、信用取引が力を発揮するのはどんな局面なのか、上手な信用取引の仕方などの技を主人公とともに学び、株式取引のレベルアップをしていきましょう。